今後、人類が宇宙空間をより広く利用したいと考える時代になったときに、小惑星の資源を有効活用するというアイデアがより現実味を帯びてくることは間違いないでしょう。
そのような未来を見据え、今は「どの小惑星にどのような資源があるのかを調査している」というのが、2025年の小惑星ビジネスの現在地です。
プラネタリーディフェンスの世界
突然ですが、地球に巨大な隕石が落ちてくるとわかったとき、今の人類の技術で隕石の軌道を変えることが可能だと思いますか?
文部科学省の宇宙開発利用部会(第90回)の議題「プラネタリーディフェンスの取組みとアポフィス観測について」に掲載された隕石の衝突事例を紹介すると、最も有名なのは約6550万年前に約10キロメートルと推定される隕石が衝突し、恐竜を含む多くの生物種が絶滅したという事例でしょう。ちなみに直近だと、2013年に約17メートルの隕石がロシアに衝突し、約1500人がケガをしたという事例もありました。
約6550万年前であれば、ロケットの打ち上げ技術もなかったことは容易に想像できます。では、現在の人類の技術をもってすれば隕石の軌道を変えられるかというと、現在まさに検証中です。
小惑星や彗星のような天体衝突による災害を事前に防ぐための活動は、プラネタリーディフェンスと呼ばれ、近年非常に研究が盛り上がっている分野です。
では、どのようにして隕石から地球を守ろうとしているのでしょうか。
方法はいくつか考えられており、すでに検証が行われているのは、地球に衝突することが予測される天体に、探査機を衝突させて軌道を変えようという実験です。
この実験はNASAが主導し、2022年に約160メートルの小惑星に探査機を衝突させました。その後、状態が変化したかについては、探査機を再度打ち上げ、2026年以降に観測することとなっています。ちなみに、2024年9月時点で、NASAは年間約300万ドルの予算をプラネタリーディフェンスのために確保しています。
そして、はやぶさ2がリュウグウから試料を地球に送り届けた後に行っているミッションも、プラネタリーディフェンスを行うにあたって非常に重要な技術の実証です。
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