「地球に隕石衝突」を防衛する最新技術の進み具合 「資源が眠る」小惑星探査ビジネスは実現間近か

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1つは、2026年7月に、大きさが500メートル程度の小惑星に可能な限り接近して、相対速度5km/sで通過するというミッションです。この実証には高精度のナビゲーション技術が求められており、実証できれば、小さな小惑星に探査機を高速で衝突させることができる技術の獲得となります。

また、2031年7月には、大きさが30メートル程度の小惑星の探査を行うことになっています。大きさ30メートルの天体が地球に衝突する確率は100年〜200年に1度と推定されており、衝突による被害対策のために重要な情報を提供することになると期待されています。

地球に衝突しそうな小惑星に物体をぶつける方法はインパクトと呼ばれますが、インパクト以外にも、レーザーを照射する手法や、核エネルギーをぶつけるといった手法も選択肢として挙げられてはいます。しかし、実証事例があるのは、インパクトのみとなっています。

2029年、小惑星が地球に最接近

では、実際に地球に大規模な被害をもたらす規模の天体が地球に接近するのは、どれほど近い未来なのでしょうか。

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実は、直径340メートルの小惑星「アポフィス」が2029年4月13日(金)に地表から約3万2000キロメートルの距離にまで地球最接近すると予測されています。安心していただきたいのは、ぶつかることが予測されているわけではないということです。

ただ、これほどのサイズの天体が地球に接近するのは観測史上初めての現象となっており、地球潮汐力が及ぼす影響の観測と、300メートルクラスの小惑星の詳細な探査ができるチャンスとして、国際的に注目が高まっています。

ビジネスというよりは、人類の危機に地球一丸となって立ち向かわなければならない大きなチャレンジがプラネタリーディフェンスです。

約6550万年前は、なすすべもなく運命を受け入れるという状態だったかもしれませんが、万が一の時に、人類の技術を持って、ある程度の大きさの隕石であれば1人でも多くの命を救えるかもしれないという希望を持てるのは非常にありがたいことだなと思います。

中村 友弥 宇宙ビジネスメディア「宙畑」編集長

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なかむら ともや / Tomoya Nakamura

1991年、熊本県熊本市生まれ。熊本県立済々黌高等学校を経て、一橋大学法学部を卒業後、株式会社オールアバウト入社。
個人活動として2017年に宇宙に特化した宇宙ビジネスメディア「宙畑」の立ち上げに関わり、2018年に宙畑が衛星データプラットフォームTellusのオウンドメディアとなったタイミングで編集長に就任。宇宙ビジネスを分かりやすく伝える記事の企画・編集、100件を超える宇宙関連企業や宇宙ビジネスに関わる個人へのインタビューを実施しながら、衛星データを利用した海釣りやロケ地探しなど、自らも宇宙技術を活用しながらそのノウハウを公開。
2019年には宙畑の立ち上げメンバーと株式会社sorano me(代表取締役社長:城戸彩乃)を共同創業し、宇宙技術の利活用促進に従事。

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