小惑星を調べることによって、太陽系初期の情報がわかり、惑星の起源だけでなく、地球の海の水の起源や、生命の原材料の把握にもつながることが期待されています。
現在もなお、はやぶさとはやぶさ2が持ち帰ったサンプルについては研究が行われており、2024年11月には、小惑星リュウグウの砂つぶから、微小な塩の結晶が発見されたといったニュースも出ていました。
現実味を帯びる「小惑星ビジネス」
このように、科学的探求という観点でも非常に興味をそそられる小惑星は、火星と木星の間にあるもので、50万個以上あると言われていますが、近年はビジネスという観点でも注目が集まり始めています。
それは、小惑星には、地球では希少な鉱物や水といった資源が多く眠っていると考えられているからです。
例えば、2023年にNASAが打ち上げた小惑星探査機の目的地である小惑星「プシケ(16Psyche)」は、最大部は直径約280kmで、データに矛盾があると考えられているものの、岩石と金属の混合物でできており、金属が体積の30%から60%を占めている可能性が高いと考えられています。
それだけの大きな金属の塊が宇宙に存在していると考えるだけでも、宇宙の広さと壮大さを感じさせます。
そして、目を疑ってしまうような数字ですが、専門家の試算によると、プシケに眠る資源すべてを合計すると、地球上の価値に換算した場合、1000京ドル(約15垓円※垓は「がい」)にもなると推定されているようです。
京や垓という単位を使用するのは、小惑星の話が最初で最後かもしれません。
もちろん、約280kmもの大きさの小惑星を、地球にそのまま持って帰るということはできないうえに、小惑星に行くまでの移動費や、サンプルリターンのための探査機も、相応のものを開発する必要があるため、地球上の価値がそのまま売上になるわけではありません。
ただ、興味深いのは、2023年に日本で行われた内閣府主催の宇宙ビジネスコンテスト「S-Booster」で最優秀賞を獲得したのが、まさに小惑星探査に関わるものだったことです。
小惑星は100万個以上確認されていると紹介しましたが、詳細な情報があるものは50個もありません。詳細を調べようとすると、そのたびに5~10年という期間がかかり、数百億円のコストがかかるため、小惑星の調査も一苦労です。
そこで、最優秀賞となったビジネスアイデアは、はやぶさのミッションで培った日本の技術を活かして、小惑星探査を高頻度で行い、かつコストは数億円にまで削減するというものでした。
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