「パワハラが生まれやすい職場」に顕著な傾向3つ 「個人の問題」とだけ捉えていては解決できない
3つ目は「人間関係からの切り離し」です。特定の人物を無視したり、仲間外れにしたりといった行為も、業務上必要になることはほぼないでしょう。この3つの類型に該当する行為は、パワハラである可能性が高いと判断できます。
少し判断に迷うのは、同じく指針に記載されている類型の「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」です。
これらに関しては、同じ業界の人から見たときに、年齢・性別・背景要因等を考慮すると「この業務量はとてもではないが妥当ではない」といった観点で判断されるものになります。
特に判断のポイントとなるのは、頻回さや継続性です。1度だけ過大な業務を与えたことがパワハラと認定されることは少ないですが、これが毎週のように、あるいは数カ月にわたって繰り返し起きると、社会通念上相当な範囲を超えていると判断されます。
この辺りは、職場や業界、個人の特性によっても判断にかなり差が出ることになります。客観的に見て、業務上相当の範囲を超えているかどうか。ここが最も大きなポイントになります。
パワハラが起こる2つのメカニズム
──パワハラは、どのようなメカニズムで発生するのでしょうか。
パワハラが起こるメカニズムについて、私は「個人的メカニズム」と「構造的メカニズム」という観点で整理しています。
「個人的メカニズム」としては、個人に特有の性格特性によって、加害的であったり、乱暴な行動をとってしまったりするのが、代表的な例です。
また、現場で特に多いのは、他人に対する期待水準の高さ、こだわりの強さなどです。これらがパワハラ行為をもたらしているケースが非常に多く見られます。
人は相手に対して何らかの期待をすると、その期待が裏切られたときにイライラしたり、ショックを受けたりすることがわかっています。
たとえば、「このぐらいはできて当たり前だろう」と考えている上長が部下に仕事を与えて、部下がその基準をクリアしてこなかった場合に 「どうしてこんなこともできないんだ」とイライラしてしまうことがあります。
このように相手に過度の期待水準を持っていると、結果的にパワハラ行為の引き金となってしまうことがあります。