狙われた牧野フライス、ニデック買収提案で"苦境" 「質問状」では拒絶感あらわ、迫るタイムリミット
牧野フライスは質問状に「単に『加工技術をベースとした事業展開』をしている会社同士であればシナジーが生じるという訳ではない」とも記載。ニデック側は1月31日付の文書で「お客様のニーズを共有することで双方のビジネスチャンスが増える」「(牧野フライスとニデックの製品や技術を)組み合わせることで、新たなビジネスを創出する可能性が広がる」などとも述べた。
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牧野フライス側は「回答内容に抽象的なものが多く、十分に検討を進められない」として、2月7日付で2通目の質問状を送った。顧客のニーズへの深い対応に重きを置く同社と、「世界屈指の総合工作機械メーカー」を目指すニデックとでは企業理念が違うとして、「買収後のPMI(統合作業)に相当の困難が生じる懸念」を指摘した。
これに対し、ニデック側は2月14日付の回答書で「貴社の理念を尊重しつつ、得意とする分野をさらに伸ばすため、必要と思われる施策の実施をサポートする」と答弁。議論は平行線をたどっており、両社の溝が埋まる気配はない。
難しいホワイトナイト探し
対決姿勢を崩さないかのように見える牧野フライス。ただ、ニデックの提案前と比べて株価は1.5倍程度に急騰している。買収を拒否するならば、同等以上の企業価値を担保できる施策を示さねばならない。
ニデックの対抗馬となる買収主を探す手も考えられるが、これは難航しそうだ。軍事転用できる機械を扱うため、牧野フライスは外資規制の対象。海外ファンドの助力は得られず選択肢は狭まる。
国内の同業他社に目を向けても、工作機械メーカーは機種や産業ごとに細分化しており、規模が比較的小さい。例えば、業界最大手格のDMG森精機でも直近の売上高は5394億円。ニデックの同2兆3471億円には遠く及ばず、張り合えそうな会社は見当たらない。
追い打ちをかけるのは、昨年12月27日に日経ビジネス電子版が配信した「ニデック永守氏『中国の脅威の前に時間をかけられない』」との記事だ。文中では、ホワイトナイトへの対応を聞かれた永守重信・グローバルグループ代表が「対抗者が出てきて、買い付け価格を上げてくるなら、その相手に対してTOBをかけてもいい」と答えている。
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