60代の「自分の資産額への満足度」が低い根本原因 「資産への満足度は保有資産額で決まる」は早計

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データからわかるのは、資産が2000万円よりも高い層では、同じ資産額でも67―69歳のほうが60―62歳より満足度が高いということです。

わかりやすくいえば、「60 歳で3000万円持っている人と、69歳で3000万円持っている人では、69歳の人のほうが満足度が高い」ということになります。

おそらくこの傾向は、年齢差が大きくなるほど顕著になることでしょう。つまり、65歳時点で3000万円持っている人と、80歳時点で3000万円持っている人、90歳時点で3000万円持っている人では満足度に大きな差があり、90歳の人のほうが満足度が高いということです。

これも考えてみれば当然のことで、資産額に対する満足度は、「その資産額で残りの寿命をカバーできそうかどうか」が大きな影響を与えるはずだからです。

つまり、資産残高が減っていっても、その間に年齢が上がって余命が短くなっていけば、満足度はそれほど低下しないのです。

「満足感」を得るためには

『100歳まで生きても資産を枯渇させない方法』書影
『100歳まで生きても資産を枯渇させない方法』(幻冬舎新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

私たちは「資産額が小さくなれば、満足度は当然に低下する」と考えがちで、資産を使うことに過度に悲観的になりやすいのではないかと思います。

しかし実際には、歳を重ねれば重ねるほど、「残りの人生で必要な資産」は少なくて済むのですから、資産額だけで満足度が決まるわけではありません。

少なくとも本書が目指す「100歳まで資産が枯渇しない」というラインが守れれば、満足感は得られるのではないでしょうか。

野尻 哲史 フィンウェル研究所代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

合同会社フィンウェル研究所代表。1959年生まれ。一橋大学商学部卒。山一証券経済研究所(のちに同ニューヨーク事務所駐在)、メリルリンチ証券東京支店調査部(のちにメリルリンチ日本証券調査部副部長)、フィデリティ投信(のちにフィデリティ退職・投資教育研究所所長)を経て、2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立。資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し、地方都市移住、勤労の継続などに特化した啓発活動をスタート。18年9月より金融審議会の各種ワーキング・グループ、タスクフォース委員に就任。行動経済学会、ウェルビーイング学会会員。

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