空前のコメ不足発生、流通で陰る"農協の支配力" 727万トンの4割をJAなどが集荷しているが…

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稲を収穫する女性
JAは無条件委託販売と共同計算を背景にコメ集荷で優位に立ってきた(写真:PIXTA)
企業がどこからどれだけ調達しているか。そしてどこに販売しているか。『週刊東洋経済』2月22日・3月1日合併号の特集は「もうけの仕組み 2025年版」。会社四季報記者が日頃の取材や産業連関表を基に、56業界のサプライチェーンを“見える化”した。
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2024年夏、空前のコメ不足が発生した「令和の米騒動」。その余波で、現在もコメの価格は高値で推移している。その背景には、コメの流通において、最大手である農業協同組合(JA)の影響力に陰りが見られることがある。

農林水産省が発表している22年産米のデータによると、国内のコメの生産量は727万トン。その半数近い350万トンは農家による卸売りや小売り、中食・外食業者への直接販売(直販)のほか、親戚への無償譲渡や自家消費に回る。残りは集荷業者が扱うが、このうち303万トンが米飯向けの「主食用」で、ほかは清酒やみそ、米菓向けの「加工用」などである。

特権でコメを優位に集荷

主食用303万トンのうち9割以上の284万トンを握るのが、全国に506(24年10月時点)存在するJAだ。JAがこれだけの集荷力を保ち続けられたのは、「無条件委託販売」と「共同計算」という特権があったからである。

無条件委託販売とは、各地のJAの上部団体である全国農業協同組合連合会(JA全農)が農家に代わって、コメを販売する時期や価格、相手を決め、精算に至るまでの一切の業務を請け負う仕組みのことだ。JAは22年、集荷量の8割弱に当たる220万トンをJA全農へ無条件委託販売した。

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