ニューヨーク・タイムズ紙の記者ジョナサン・スワンも「ミラーは計り知れないほどの力を持っている。現在、選挙で選ばれた政治家以外で最も大きな権力を持った人物である。彼はすべての国内政策の責任者である」と説明する。
そう言われても、おそらく読者の多くは、ミラーの存在すら知らず、なぜトランプから絶対的な信頼を得たのか理解できないだろう。ミラーとは何者なのか。
極めて猜疑心が強いトランプは、第1次政権時、ホワイトハウスからリークされる情報に神経質になっており、つねに側近に疑いの目を向けていた。自分と話をするとき、側近がメモを取ることさえ禁止するほどだった。
相次いで首席補佐官などホワイトハウスの幹部を更迭し、その数は歴代大統領で最も多かった。更迭された幹部たちは、政権を去ると公然とトランプ批判を始めた。そんな中でミラーはトランプに対してつねに“100%の忠誠”を示し続け、第1次政権の最後まで残った数少ない側近の一人なのだ。
そして第2次トランプ政権では、以前にもまして大きな権力と影響力を持ってホワイトハウスに復帰し、政策担当副首席補佐官と国土安全保障省顧問という要職に就いている。その影響力は”級数的”に増えていると言われている。
ホワイトハウスの権力構造は、大統領との距離で可視化される。ミラーは大統領執務室があるウエスト・ウィングに大きな部屋を与えられ、いつでもトランプに会える立場だ。
トランプのミラーに対する信頼が、第1次政権のときよりさらに強くなっていることは、移民政策だけでなく、国内政策全般の立案の責任者にしたことからもわかる。実際、大統領令の作成から大統領の演説原稿のチェックまでミラーが担当している。
トランプに魅了された反移民主義者
カリフォルニア州サンタモニカで不動産業を営む豊かなユダヤ人家庭に生まれたミラーは高校生の頃から強烈な反移民主義者であり、ナショナリストであった。高校生のときの同時多発テロやカリフォルニア州への大量の移民流入を直接見た経験などが彼を反移民主義に駆り立てた。
デューク大学を卒業した直後、政治家のスタッフを志したミラーはワシントンに向かう。バックマン下院議員やシェーディング上院議員のスタッフを務めた後の2009年に、後にトランプ第1次政権の司法長官に就任するセッションズ上院議員の報道担当者になる。
共和党内の最右翼で、過激な反移民主義者でもあった同議員にミラーは共感する。セッションズ議員を介して、極右のアルトライトの指導者で、後に大統領補佐官になるスティーブン・バノンと知り合い、反移民主義で共鳴し合う。
トランプが2016年の大統領選挙に出馬宣言をするためにトランプ・タワーのエスカレーターを降りてくる姿を見て、ミラーは宗教的な啓示を受ける。セッションズ議員にないカリスマ性を感じ取ったミラーは、トランプの選挙運動のスタッフに転じる。政策アイデアを提案し、トランプのためにスピーチ原稿を徹夜で書き続けた。トランプは彼の能力を評価し、自らの少数のインナー・サークルのメンバーとして受け入れた。
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