旧安倍派会計責任者の「参考人招致」攻防の裏側 51年ぶり異例の議決決着の背景に"公明離反"も

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衆院予算委員会で答弁する石破茂首相(写真:時事)

少数与党下での通常国会が、召集後1週間もたたずに混乱を露呈した。政府与党が最優先課題とする2025年度政府予算案の審議入りが、当初予定の30日から1日ずれ込んだのだ。野党側が、「政治とカネ」に絡めて旧安倍派会計責任者の参考人招致を、衆院予算委員会審議入りの「条件」としたのに対し、自民が徹底抗戦したため、立憲民主の安住淳委員長が「決裁」の形で議決によって決定したからだ。

民間人の参考人招致は全会一致とされてきた国会慣例が崩れたのは、51年ぶりという異例の事態。「野党側にとっても返り血を浴びかねない結末」(政治ジャーナリスト)に、安住氏は「苦渋の決断」と釈明しきり。ただ、議決強行の背景には与党・公明党の自民からの“離反”もあったとされ、石破茂政権の内部からも「日程的にはわずか1日のズレとみえるが、今後の国会運営への影響は極めて大きい」(官邸筋)との危機感が広がっている。

一方、招致が決まった会計責任者は、すでに自民党に「出席拒否」の意向を伝えているとされ、「実際には予算委での参考人招致は実現しない」(自民国対)とみられている。このため、招致の日時となる2月10日以降の与野党協議で、改めて会計責任者の「証人喚問」の可否を話し合うことになるが、野党側にも「来年度予算案の修正問題がヤマ場となる中での協議は、国民の批判を招きかねない」(維新幹部)との慎重論があり、今後の展開は「出たとこ勝負」(自民国対)となりそうだ。

公明、「賛成」から「退席」と“迷走”

衆院予算委は1月30日午前、自民党旧安倍派の裏金事件で有罪が確定した同派会計責任者(当時)の松本淳一郎元事務局長の参考人招致を、野党の賛成多数で議決した。自民は反対し、公明党は退席した。これを受け、安住委員長は松本氏を2月10日の同委に招致する方針を示したが、議決には強制力がないため実現しない見通しだ。

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