「負け犬」から22年、酒井順子氏語る「子の無い人生」 令和は「負け犬」にとって生きやすい社会なのか

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政治の世界を見ると、「保守系の女性議員が、無理をしてまで子どもを産もうとする人もいます。人間は子どもを持ってナンボ、という考えを持つ人はまだたくさんいます」と言うが、「『結婚しないの?』的なことを言う人が、一部に残っているのも別にいいんじゃないかと思います」とも。

「独身の人には何も言わないほうがいい、と放置されると、本当は寂しくてどうにかしたい人が、誰にも頼ることができなくなるのでは。もちろん、周り中から『結婚しろ』と言われるとつらいですが」

もっと立場の違う人同士が歩み寄れるといい

日本だけでなく、アメリカでもドナルド・トランプ氏が再び大統領になり、保守が強くなっている印象がある。子どもを産まない人、産みたくない人は生きづらい方向に行きはしないか。

しかし、酒井氏は「世の中は、あちらに揺れたりこちらに揺れたりしながら、進んでいきます。今までは、専業主婦と働く女性にしても、男と女にしても、対立構造になりがちだったじゃないですか。立場の違う人たちが手と手を取り合うのは難しかったけれど、不毛な対立ですよね。もっと男女も、子あり・子なしも、既婚者とそうじゃない人も歩み寄っていいし、人間としての親近感も抱いていきたいと思います」と話す。

確かにここ1~2年、わかりやすい白黒や断言で見逃される、微妙な心の揺れや現実のあいまいさを大切にしよう、とする識者の発言が散見される。子どもを「持つ」・「持たない」についても、産める年代の人も迷うし、産んだ人も産まなかった人も、後悔する場面があるかもしれない。そうした揺れや出した答えを自分で受け入れ、周りも肯定していくことで、世界はもっと広がるのではないだろうか。

本記事は本連載の1回目です
阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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