自動運転は大都市の「公共交通」どう変えるのか 人手不足が深刻化する2027年までにレベル4実装を目指す
通常のディーゼルバスが2000万円程度であることを思えば、5倍近い価格差だ。「量産効果でコストダウンが進まない限り、民間事業者が単独で導入するのは厳しい」と関係者は口をそろえる。
川崎モデルの行方
自動運転バスの取り組みは、川崎市だけでなく全国でも動き始めている。2024年12月には伊予鉄道が松山観光港~高浜駅間(約1.6km)で、全国初のレベル4路線バス運行をしており、地方都市でも着実に実装が進む見通しだ。
一方で川崎市は、今回の実証を「川崎モデル」と位置づけ、都市部ならではの複雑な交通環境に対応した自動運転ノウハウを全国に展開する考えだ。
もっともレベル4実装に向けては、まだいくつもの課題が残されている。技術面では、市街地での安全な自動運転の実現や、異なる警察管轄をまたぐ信号連携の確立が必要だ。制度面では、完全自動運転に向けた規制緩和や運行管理体制の整備が求められる。
さらに、自動運転バスへの社会受容性を高めることも重要な課題となる。川崎市は地元の殿町小学校と連携し、児童たちにSDGsの観点から自動運転バスについて学んでもらう取り組みも行っている。
川崎市は2年後をめどにレベル4の営業運転を実現する方針を掲げており、その本気度からは、深刻化する運転手不足に直面する大都市圏の公共交通を根本から変革しようという強い意志が見て取れる。地方都市の成功例を大都市にまで拡張できるか――この挑戦は、多くの自治体が今後抱える移動の課題を占う試金石となるだろう。
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