尹大統領逮捕に涙する20、30代韓国人男性の本音 再びジェンダーの争いになってきた韓国の政治
20〜30代の男性が極右化していると指摘するメディアもあったが、そもそも尹錫悦大統領はこの世代の男性から熱烈な支持をとりこんで誕生した。背景には、兵役が課されている立場から常に不公平感が燻っていることがある。
軍服務により与えられていた恩恵はなくなったが、一方、女性の環境だけが改善されているように見え、特に文在寅前政権下では、女性に配慮する傾向があったとしてジェンダーでの葛藤が広がった。そうした不満をすくい上げて大統領に当選したのが尹大統領だった。
しかし、尹大統領は就任後、20〜30代男性票を取り込むために公約にしていた女性家族省の廃止もスーパー野党に阻まれて実現できておらず、また、与党「国民の力」代表だった30代のイ・ジュンソク元代表を脱党に追い込むなど、20〜30代の男性支持者からは失望感が広がり、支持が離れたと言われていた。
尹大統領弾劾訴追デモで目立ったのは女性たち
ついひと月ほど前には、弾劾訴追を追求するデモにK-POPの推しのペンライト持って参加した20〜30代の女性たちが話題になったばかりだ。保守派のデモに今度は20〜30代の男性が登場した背景について、成均舘大学社会学科のチュ・ジョンウ教授はバックラッシュ(揺り戻し)が起きているというジェンダーの観点からこう分析した。
「弾劾訴追のデモの時には外信でも取り上げるなど20〜30代の女性が脚光を浴びましたが、男性たちも、自分たちも政治勢力であることを可視化しようという意図があると思います。
2016年に起きた江南殺人事件(江南駅で通り魔の犯人が女性を選んで殺害した事件)や2018年頃から起きたMeToo運動から韓国の女性の間にフェミ二ズムは強く浸透しました。今回も彼女たちが新たな政治勢力となりうる動きがでた。ですから、それと対峙する形で登場した」
ジェンダーの葛藤だけではないと指摘するのは、世論調査会社関係者だ。
「野党の失策が大きい。支持率を回復する過程で、社会が混乱しているにもかかわらず民主党はハン・ドクス総理まで弾劾訴追した。戒厳令と弾劾までは大統領と与党が評価されなければならなかったが、弾劾訴追をした後は大きな山を越え、世論の目は民主党に向けられた。ところが、ここで誤った。カカオトークの内容を検閲するというのも若い世代から背を向けられる大きな原因になっている」
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