尹大統領逮捕に涙する20、30代韓国人男性の本音 再びジェンダーの争いになってきた韓国の政治
情報はもっぱらYouTubeから集めるそうだ。彼と同じように、遠巻きにデモを見ている若い男性が何人かいた。
その中の1人は31歳の就職準備生は、「野党の暴走」に懸念を強めているという。
「(尹大統領が)戒厳令をなぜ出したのかをずっと考えてきました。これはいずれ明らかになるでしょうけど、野党が出した『カトク戒厳』から自由について深刻に考えるようになりました。
大統領への公捜庁(高位公職者捜査庁)の捜査も拘束も逮捕も法に則ったものではなかった。野党が暴走しています。このまま、野党に政権を渡したら自由が脅かされるという思いで今日は来ました」
「カトク厳戒」とは、最大野党「共に民主党」が韓国の国民的メッセージングアプリ「カカオトーク」でも内乱を煽動するような内容を書いた者は一般人でも告発するとしたもの。フェイクニュースが乱舞しているとして、今月初め、同党のホームページにフェイクニュースを申告する窓口を設置しており、これに「表現の自由を奪うのか」とZ世代や保守派から猛反発を受けている。
与党の支持率が上がっている背景に20、30代男性
与党にとっては8年前の朴槿恵元大統領に次いで2回目の弾劾という難局だが、朴元大統領の時と大きく異なるのは与党の支持率が上がっていることだ。この背景にはこうした20〜30代男性の支持がある。同世代の与党への支持率は弾劾訴追の局面から10ポイント以上、上昇している(世論調査会社韓国ギャラップ)。
保守派のデモといえば、朴元大統領の弾劾時に登場した親米・反共を掲げる「太極旗部隊」が象徴的で、そのほとんどが高齢者だった。大統領が拘束される前も大統領公邸近くで連日、保守派のデモが繰り広げられ、参加者の中には20〜30代の男性の姿も見られたが、「(若い男性の)アルバイトを雇ったのではないか」という声も囁かれるなどフォーカスされることはなかった。
ところが、尹大統領へ逮捕状が発付された1月19日、発付は違法だとして尹大統領の支持者の一部がソウル西部地方裁判所へ乱入した事件から認識が大きく変わった。地裁の壁を損壊するなどして韓国社会に衝撃を与えたが、現行犯逮捕された90人のうちの半分(46人)が 20〜30代の男性だったことが明らかになり「驚き」が広がった。
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