セブン「高級コンビニ化で客離れ」の"残酷な結末" スーパーのコンビニ化進む中、戦略が迷走中?

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そんな中、セブン-イレブンは業界1位で店舗数・売上高とも圧倒的に他を凌駕していたために、変化への動き出しが遅くなってしまったのではないだろうか。

スーパー、コンビニ各社がそのポジショニングを明確にしつつある中、同社は現在でもどのような方向に進むのか、その進路がふらついている状態だ。

「うれしい値!」商品が早くも値上げ…

「エコだ値」「うれしい値!」といった値下げの政策を行ったものの、1月後半よりおにぎりをはじめとする商品の値上げを順次行うことが示された。

物価高騰、とくに米の価格高騰が続く昨今なので、値上げ自体は仕方がないこととはいえ、「値下げをしたいのか、値上げをしたいのかよくわからないな」と消費者から思われてしまっても仕方がない。

セブンと言えば商品力の高さで支持されてきたコンビニだが、その商品力に疑問符がついてきたのに加え、もはや、ブランディングで迷走してしまっている……と言えそうだ。

「うれしい値!」おにぎり
「うれしい値!」だったおにぎりの中でも、いくつかの商品の値段は上がるという。消費者にとっては「うれしくない値!」なニュースと言える…(筆者撮影)

このふらつきの結果、小売業の中でのセブン-イレブンの「ポジション」が徐々に失われていくかもしれない。

これまでのような高級路線を貫くとしても、「成城石井」ほどの高級感や付加価値を付けることができるかといえば、なかなか難しい。店舗数は日本で一番多いから、「プレミア感」「特別感」は演出しづらい。どっちつかずになってしまう。

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ただ、セブンとて手をこまねいているわけではない。同社は2024年2月にコンビニとスーパーを掛け合わせた「SIPストア」の実験を始めている。現在、千葉県松戸市常盤平に実験店舗を構えている。

ただ、この店舗の方向性も定まりきってないようだ。店の隣にはオーケーがあり、価格競争としては少し劣っている(ITmedia ビジネスオンライン「セブン&アイが期待する『SIPストア』は、『まいばすけっと』に勝てるか? 1号店で見た“残念な光景”」/2024年11月18日)。

現地を訪れたライターの山口伸氏は同店舗がどっちつかずでどの方向性を向いているのかわからないと書いている。ここでも結局、店舗作りのポジション取りに苦慮しているわけだ。

1号店の開店からほぼ1年が経過するが、2号店がまだ出店していないことを見ると、その拡大は難しいのかもしれない。

いずれにしても、スーパーとコンビニ間での競争が激しくなる中、どのポジションで顧客を付けていくのかを明確に定めない限り、セブン-イレブンの迷走は続いてしまうのかもしれない。

【もっと読む】ファミマ、いつの間にか「ファン急拡大」の背景 アパレルが話題も、食品にも消費者目線が通底 では、業績好調なファミリーマートについて、チェーンストア研究家の谷頭和希氏が詳細に解説している。
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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