日本の行政は「生成AI」の活用が遅れているのか 避けられない労働人口の減少を切り抜ける唯一の鍵

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

拡大

まとめると、政府は行政へのAI活用には真剣に取り組もうとしていて、デジタル庁はそのための制度づくり、ガイドラインづくりのために活動しているのが現在のステップ。これは、今後の行政で発生する人手不足を緩和するためには必要なことだ。

生成AI活用において日本の行政は遅れている?

どのような業務にAIを活用するのが効率的か。どこのサービスを使って、どういうルールで行えばいいのかを現在、デジタル庁は模索している。

公開情報であれば、一般的な約款型クラウドサービスでもよく、機密情報を扱う場合は、オープンな場所に出て行かない環境で、申請の上で利用する。となると、海外のサービスだけでなく、国内のクローズドなサービスも検討されることになりそうだ。情報の秘匿性や、サービスの安全性、安全保障上の課題なども含め、逐次判断が行われるだろう。

今のところ、この領域においては日本が圧倒的に遅れているということはない。どこの国でも活用の方法論と、安全性の確保などについて検討中とだからだ。

「アメリカや中国は自国の企業のAIを活用していく方針ですが、欧州は少し慎重のようですね。GAFA進出に対し、ある程度の規制は必要と考えています。フランスは自国企業もあり多少前向き、イギリスはEUから離れているので日本に近い感じです。台湾やシンガポールはデジタル政府を推進しています」(森参事官)

「個別の国と意見交換会のようなことはやっているのですが、どのレベルの人と話すかで、けっこう返ってくる答えは変わってきます。先日、サウジアラビアの方と話したのですが、相手は行政官だったので『こういう戦略でやってます』という前向きな話でした。しかし、エンジニアの方と話すと、より現実的なお話になります。実際のところは、エンジニア同士で話さないと分からない部分もあります」(大杉氏)

大杉氏はデータ・サイエンティストとして、民間から登用された(筆者撮影)

生成AIについては、多くの国で活用に向けた議論がスタートしたのが、2022年11月のChatGPTの登場以降ということで、活用の段階はこれからだ。アメリカや中国のように計算リソースがある国が有利という部分はあるが、行政での積極的な活用を推進すれば、日本も遅れず活用していけるだろう。

村上 タクタ 編集者・ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらかみ たくた / Takuta Murakami

iPhone、iPadなどアップル製品を中心に扱うガジェット・テクノロジー系編集者・ライター。カリフォルニアでのWWDCやiPhone発表会には2016年頃から継参加。趣味の雑誌の編集者として、’92年から約30年で約600冊の雑誌を作ってきた。バイク雑誌『ライダースクラブ』に携わり、ラジコン飛行機雑誌『RCエアワールド』、海水魚とサンゴ飼育の雑誌『コーラルフィッシュ』、デジタルガジェットのメディア『flick!』『ThunderVolt』の編集長を務める。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー。バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、庭での野菜作り、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。娘はロンドン、息子は台湾在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事