「早期学力試験の是非」文科省通知がもたらす混乱 「青田買い」に警鐘、関西の大学「なにを今さら」

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これから大学の入学関連の部署は選抜試験の実施、判定、結果発表だけではなく、3月に始まる次年度の学生募集のための準備など繁忙期に入る。そんな折に、この通知。しかも年末年始の休暇に入る直前だ。

「自分のところは関係がない」と済ませる大学もあるだろうが、選抜試験をよく理解している大学の担当者は、モヤモヤを抱えての年越しとなったのではないだろうか。

なぜならば、この「通知」にはいくつかの疑念を持たざるを得ないところがある。

中途半端な対応の指示や今回の大学入試改革の方向性とは異なることが書かれており、中央教育審議会などの審議もなく変更されているのではないか、今後の大学入試を考えるにあたり大きな影響を与えることになりかねないのではないか、といったことが記載されているからだ。

「前倒しの学力試験」、関西では以前から

この通知を知った関西の大学関係者から年末に連絡があり、年明け早々、関西に出向いて、意見交換をした。関西では30年以上前から公募制推薦入試として基礎学力テスト(文科省に言わせれば「前倒しの学力試験」か)が実施されてきた。

そのため今回の通知は関西の大学にとっては「理解不能」で、文科省はなにをいまさら言い始めたのかといった感覚である。

東洋大学は「関西もやっているのにどうしてダメなのか」と子どもじみたことを言っているが、東京の中高では「この動きを追随する大学が出てきたら従来の進路指導ができなくなる」との懸念が広がっていた。こうした高校側の懸念を、文科省はこの通知では下記のようにまとめている。

・(期日以前に選抜が行われることにより)生徒の安易な進路選択につながるなど、進路指導という観点を含め、高等学校教育に大きな影響を及ぼす

・一部の大学において実施要項の趣旨を踏まえず、高等学校教育における学びの継続性や教育課程に影響を与えかねない、早期選抜が実施されていることに憂慮し、正常な高等学校における教育と大学における教育の接続が実施されるよう願う

・総合型選抜や学校推薦型選抜では入試方法の多様化、評価尺度の多元化に対する大学の努力の一環であり、選考に当たり丁寧な資料の見取りとそれに係る時間を相応に要することから、一般選抜に比して早期に実施されているものと理解

・現行の実施要項に基づけば、各大学はアドミッション・ポリシーに基づいて大学入学者選抜を実施するものであり、少子化によって減少する学生を他大学に先駆けて確保することが目的ではないはず

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