50年以上実現せず「奥羽新幹線・羽越新幹線」の今 「本当に必要としているのは山形県だけ」のワケ
秋田県は羽越新幹線と奥羽新幹線により、県の南北のアクセスを改善できるが、旅客流動の大きな首都圏、仙台とは秋田新幹線で直結している。
さらに秋田新幹線の難所である仙岩峠では新仙岩トンネル(仮称)建設計画も進行中で、これにより所要時間の7分短縮と冬季の降雪時などによる遅延を防ぐことができ、運行の安定性が向上する。
そのため、多大なコストを投入して、新たな新幹線を建設する必要に迫られていない。
青森県もフル規格の東北新幹線によって首都圏や仙台と直結している。
羽越新幹線により県西部の交通アクセス改善を図ることができるが、県西部の中心である弘前駅は青森駅から普通列車でも約40分と、こちらも建設の意義は極めて低いといえる。
新潟県では上越妙高駅と長岡駅の信越本線高速化が羽越新幹線の一部と考えられるが、新潟駅から東側については後回しといった扱いである。
福島県は奥羽新幹線の10km程度が通過するだけであり、新駅設置も見込まれないため、そもそも福島県にはほとんど関係のない話である。それにも関わらず、奥羽新幹線が実現すれば、並行在来線分離が予想される。
福島県内では、山形線の福島駅から庭坂駅までのわずか7km程度の区間ではあるが、奥羽新幹線のために福島県が引き受ける理由は見当たらず、奥羽新幹線建設においては大きな問題となるだろう。
このように、奥羽新幹線、羽越新幹線を本当に必要としているのは山形県のみといっても過言ではなく山形県の誘致活動が目立つのも、そうした事情による。
その山形県ですら実現に向けて問題山積み
羽越新幹線の予定ルートとなる羽越本線は、極めて旅客流動が小さい。
この路線では都市間輸送として、特急いなほが1日7往復運行されているが、そのうち5往復は新潟〜酒田間のみで、秋田まで運行されるのは2往復に過ぎない。
羽越新幹線で最も利用される区間は、新潟駅と山形県庄内地方の鶴岡駅・酒田駅と考えられるため、この区間の流動を試算してみよう。
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