「くじけそうな生徒への声かけが絶対的にうまい」と同僚の先生が語る人心掌握の力が、生徒の頑張りを支えるのには必要な要素のようです。
長い間この会を続ける有田先生の考え方の根幹には、「難関校に合格することは目標ではなく、手段」という信念があります。
「どこの大学に入ったかが大事なのではありません。大学や専門学校に行っても、就職するにしても、いちばん重要なのは自分と向き合い、目標に向かって努力し、もがいていく中で、周囲の人や環境に感謝できるようになること。
そして自分に自信をつけて自分を肯定できるようになったりすることで、それを今後の人生に活かしてくれることだと思っています。受験とは、自分と向き合う大切な機会の1つだと思います」
進学実績だけを目標にしない
進学実績だけを目標にしないことで、生きていくうえで大切な気づきを得られ、それが、結果的に進学実績の向上につながるのでしょう。
「私は、いつも生徒たちに『自分を好きになるために学び合おう』『大学進学がいちばんの目的ではなくて、大学の向こうへ行こう』と言ってきました。だからこそ、今、卒業生たちが大学に入ってから、それを体現してくれていて嬉しいです。このような状況は、どの学校にも見られない貴重な時間ではないでしょうか」
偏差値40台の「教育困難」な状況からのスタートであったとしても、生徒との距離を大切にして決して否定せず、わかるまで何度も復習を繰り返し、生徒と一緒になって勉強を楽しむ先生の姿勢が、偏差値40台の高校からも難関大輩出を可能にしているのでしょう。考え方次第で、苦痛に思える勉強も、大きなやりがいに変えられることを、有田先生は教えてくれました。
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