ライオン、今治造船、2社の経理業務改革に迫る 支出管理の常識を変えると何が起きるのか
Case1
新しい承認フローで効率改善、働き方の柔軟性が向上した
1891年の創業以来、歯みがきや手洗い、洗濯をはじめとする習慣づくりを通じて社会に貢献してきたライオン。経営ビジョンに掲げる「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」の実現に向けた中長期経営戦略フレームを策定し、事業活動を展開している。
ライオンが請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」を導入したのは2023年。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応をきっかけに、従来の紙ベースの業務フローを刷新することを決断したからだ。「TOKIUMインボイス」は請求書の形式を問わずTOKIUMが受領を代行し、クラウド上で一元管理できるサービス。請求書の取引先名、金額、支払期日、振込先情報などがデータ化され、承認のプロセスもオンラインで完結できる。
「『TOKIUMインボイス』導入以前の請求書処理は、紙ベースで行っていました。各拠点で請求書を受け取り、現場担当者がその内容をシステムに入力して伝票を起票。伝票を紙に出力し請求書などとセットにして社内便で本社に送付するというフローで運用していました」と、経理部企画グループマネジャーの辻川知宏氏は振り返る。
「そうした膨大な量の請求書が各部署から送られ、最終的に経理部で伝票と請求書を照合し、承認作業を行うプロセスはたいへん手間がかかるものでした。とくにコロナ禍は、出社制限やテレワーク推進が求められる中で、紙の書類を扱う作業の課題が浮き彫りになりました」
従来の業務フロー見直しを始め、法令対応と業務効率化のために複数の請求書受領サービスを検討。その結果、請求書だけでなく納品書などの国税関係書類も一元管理できること、会計システムなどの社内のほかのシステムとの連携を視野に入れ、「TOKIUMインボイス」の導入を決めた。
経理部の岡山桂氏は、次のように効果を実感している。
「『TOKIUMインボイス』導入以降、経理部では、クラウド上の請求書と会計システムに入力された起票内容のチェックがパソコンで完結し、各部署から紙の請求書が社内便で届くことはほぼゼロに近くなりました。以前は請求書を仕分ける業務が必要でしたがその負担も大きく軽減されました」
負担軽減だけではなく、社員の働き方の柔軟性にもつながっている。大雪で都内の交通機関が混乱したとき、経理処理の担当者が出社せずに請求書処理を完了できるようになったなど、BCP対策としても強い手応えを感じたという。
「『TOKIUMインボイス』の導入により、在宅勤務やリモートでの経理処理業務が可能となり、出社しなくても経理処理業務を滞りなく継続できる環境が整いました。またパソコンで完結する承認業務を経験すると、紙ベースの確認作業は多くの工数がかかっていたと再認識しました。社員へのアンケートでは、回答者の約4割が10%以上の工数削減を実感したとの結果も出ています。工数の面以外でも紙の書類を保管するスペースが不要となり、管理保管コストが削減されたことも大きなメリットです」(辻川氏)
一方、システム導入にあたってTOKIUM側からの手厚いサポートがあったという。「請求書受領の業務を効率化するために、マスターデータの整備や取引先への連絡が肝になるのですが、正確にそれらを実現するために何が必要なのかなど、導入までの膨大なタスクに対して、さまざまな知恵とアドバイスを出していただきました」(辻川氏)。
岡山氏が続ける。「とくに数千社にのぼる取引先に請求書送付先の変更を依頼することに高いハードルを感じていましたが、取引先の住所リストをもとにTOKIUM側から取引先に連絡ハガキを発送していただきました。また、社内からのシステム操作系の問い合わせについてはTOKIUM側に専用のヘルプデスクを設置してもらい、TOKIUM側から回答する体制をとりました。経理担当として、そうしたシステムの問い合わせに答えなくてよい仕組みになったことで効率的に導入を推進することができました」。こうしたTOKIUM側の導入サポート体制が、大きな変革を下支えし、現在の安定的な運用につながっている。
これから、どのように業務効率が向上していくのか。「TOKIUMインボイス」の導入効果を最大化するような取り組みも続いている。
Case2
請求書・領収書業務を改革、大幅な時間短縮を実現した
新造船建造量で圧倒的な存在感を誇る今治造船は、1901年の創業以来、120年以上にわたって世界中の船主に高品質な船舶を提供してきた。1956年に鋼船の建造に着手して以降、2900隻を超える(2024年10月末現在)船舶を送り出してきた。
「瀬戸内海沿岸に本社工場のほか、丸亀工場や広島工場、西条工場など10カ所の建造拠点を有しています。各拠点がそれぞれ特化した技術や製造能力を持つことで、全長約400メートル級のコンテナ船や環境配慮型のLNG燃料船をはじめ、幅広い船舶を手がけています」と菊川勝人氏(常務取締役、経理・財務本部長)は語る。
今治造船でも、経理業務に課題を抱えていた。長年、請求書や経費精算書類を紙でやり取りしており、各部門の責任者がハンコを押して承認を行い、それを経理部門に回すという流れを踏襲してきた。しかし、複数の拠点を持つ今治造船にとって、紙の処理に時間と手間がかかる承認プロセスが、大きな負担となっていた。
「紙の請求書や領収書の承認に時間がかかり、とくに承認者が不在の場合など、承認プロセスが進まないことがありました。それに加え、紙と経費精算システムに入力されたデータが一致しないと支払い処理ができず、確認などが大きな負担になっていました」(丸亀経理グループ 二宮英司グループ長)
そこで経理業務の効率性向上のためペーパーレス化を決断。請求書や領収書の承認プロセスを根本から見直し、複数のシステムを検討した結果、選ばれたのが「TOKIUMインボイス」と、申請者・承認者ともに完全ペーパーレスを実現する経費精算クラウド「TOKIUM経費精算」だった。
「請求書受領や経費精算業務を1つのプラットフォームでまとめて申請・処理でき、法改正にも柔軟に対応できることが、選定の大きなポイントとなりました」(広島経理グループ 岸添京介グループ長)
TOKIUMが選ばれた理由はほかにもある。
「以前は、物理的な書類が届かない限り業務が進まないという制約がありました。その点、『TOKIUMインボイス』『TOKIUM経費精算』は、どこからでもアクセスできますから、外出先でも承認が可能なうえ、ほかの拠点の経理部門をお互いにサポートできることも大きな魅力でした」(今治経理グループ 小林昭チーム長)
実際、導入後の経理業務は劇的に効率化された。「紙によるやり取りがなくなり、デジタル化によって承認フローが大幅にスムーズになりました」(西条経理チーム 村雅至氏)。
さらに、岸添氏は機能面での対応力にも触れる。「例えば、検索機能の拡充についてTOKIUMに要望した部分がアップデートされているなど、欲しいデータが効率的に抽出できるようになりました。私どもの要望に応えていただくだけでなく、UIや各種新機能など頻繁にアップデートされている印象を受けています」。
そして、業務全体の効率が向上した結果、時間が生まれた。
「時間短縮効果が顕著で、これまで10時間かかっていた作業が、今では2時間以内に完了するようなイメージです」(岸添氏)
「当初は、社内や請求書を発行する取引先への説明など、不安材料はありましたが、実際に新しい仕組みが始まると、それらは杞憂であったと実感しています。もう、以前のような働き方には戻れません」と笑みを浮かべるのは小林氏だ。
今後、今治造船は「TOKIUMインボイス」「TOKIUM経費精算」を活用し、経理業務のさらなる自動化と効率化を進める計画だという。データを活用した経営層への報告や分析を強化し、経理部門がさらに戦略的な役割を担うことを目指している。
支出管理の課題解決で「時を生む」アシストを
「TOKIUMインボイス」「TOKIUM経費精算」をはじめ、支出管理プラットフォームを開発するTOKIUMは、大企業へも顧客層を拡大してきた。これまで2500社以上の企業がTOKIUMの支出管理プラットフォームを利用し、その中には250社を超える上場企業も含まれる。
多くの企業から選ばれる理由の1つに、システムだけでなく、その後の運用支援まで一貫して提供する姿勢が挙げられる。
「とりわけ、中堅から大企業が抱える経費精算や請求書受領業務の課題の中には、その規模や強固なガバナンスなどの理由からシステムだけで解決できないことがあるでしょう。しかし、運用面でのオペレーションをセットで提供することによってはじめて、導入前よりもはるかに低い負荷で課題を解消することができる。そうしたユーザー体験が非常に受け入れられている、ともいえるでしょう」と代表取締役の黒﨑賢一氏は語る。
大企業から選ばれる理由はほかにもある。
「例えば、セキュリティー基準やガバナンスが厳しいからといってサービス提供を断念するのではなく、その高い要求に真摯に応えることで、よりいっそう強固な信頼関係を築くことができていると確信しております。私たちは、お客様の1部門をお任せいただいているという覚悟を持ち、日々サービスの改善とアップデートに努めています」(黒﨑氏)
TOKIUMは支出管理プラットフォームとして、従来の経費精算や請求書処理だけでなく、契約管理や購買活動に至るまで、さまざまな支出プロセスをデータ化し、一元管理する機能の拡充を見据えている。
「私たちが目指すのは、企業全体の支出データを一元管理し、そこから得られるインサイトを基に、戦略的な意思決定を支援するプラットフォームの構築です。蓄積されたデータを活用し、過去の支出傾向を分析することで、適切な予算策定、さらにはガバナンス強化と戦略的な資金配分に貢献できると考えています」(黒﨑氏)
経理業務を含む支出管理の課題解決を通して、企業が自由にかつ主体的に使え、未来につながる時間を生むことが使命だと語る黒﨑氏。これからもTOKIUMから、どのような提案がなされていくのか。その動向に注目だ。
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