「請求書は自社で受領しない」が当たり前の時代へ 電子化が生み出した「意外なリスク」とは?
請求書受領サービスは大きく2つに分けられる
請求書受領サービスという新たな市場が急拡大した背景には、コロナ禍によるリモートワークの普及がある。紙で請求書を受け取ることが難しくなり、DXや脱ハンコ・ペーパーレス化の推進とも相まって、請求書受領業務の効率化ニーズが顕在化した。
他方で、新たな市場ということもあり、同じ「請求書受領サービス」でも提供企業によって内容は異なる。違いを分けるのは、自社で請求書を受領、スキャン・アップロードするか、受け取りからアップロード自体も代行してもらうかという点だ。
前者は請求書の枚数が少なく、スキャンやアップロードを手間に感じない場合はおすすめだ。対して、請求書の枚数が多く、紙をはじめとした多様な形式で受け取っている場合は、「紙も含めてあらゆる形式の請求書の受領からデータ化まで代行」するサービスが向いているといえよう。開封からスキャン、入力まで請求書受領という作業を丸ごと効率化できるからだ。
言い換えれば、請求書受領という業務プロセスそのものをなくすことができ、作業負荷の大幅な低減につながる。経理部門のみならず、請求書を受け取る現場担当者の業務効率化も実現できるというわけだ。なお、紙の受け取りはオプションというケースもあるので紙の請求書が多い場合にはその点も留意しておきたい。
この形式のサービスを提供しているTOKIUMの永禮啓大氏は、「請求書受領サービスは、取引先のプロセスを変更しなくても、請求書管理の効率化やDX化が実現できるのもメリット」と説明する。
「確かに請求書送付サービスの台頭などもあり、請求書の電子化は進んでいます。しかし、取引先様の中には郵送でという決まりがある場合もあるでしょうし、中にはFAXなど特有の様式が残っている業界もあります。そうした取引先のすべてが請求書の電子化を実現することは現実的ではありません。その点、あらゆる形式の請求書を受領代行する弊社のサービスならば、取引先に無理な行動変容を求めることなく、極力負担をかけずに請求書受領業務を効率化できます」
急増するWebダウンロード形式の注意点とは
「特に請求書の受領代行をしているサービスが、Webダウンロード形式に対応しているかどうかは事前に確認しておきたいポイントです」とTOKIUMの島袋朱梨氏は指摘する。請求書の中でもWebからダウンロードする形式のもの、実はこの形式に対応可能な請求書受領サービスはかなり限られているというのだ。
「ダウンロード形式を受け取る側の負担は決して小さくありません。まず、取引先を多数抱えている場合、ダウンロードするだけでも相当な時間がかかります。
加えて、Webダウンロード形式は見落としやすいという声が増えています。PDFなどのメール添付の場合、普段からやり取りをしている取引先の担当者名でメールが届くことが大半なので見落としは少ないのですが、Webダウンロード形式はシステムの名称やシステムベンダーの社名で届くことから、開封優先度が下がってしまうのです。また、IDとパスワードなどを確認している間にダウンロードを忘れてしまったり、ダウンロードしたことに安心して申請を忘れてしまったりといった話もよく聞きます」(島袋氏)
請求書の受領は経理部門ではなく、担当者が行うことが一般的だ。大量のメールを日々処理している担当者の場合、システム名や社名のメールをすぐ開封せず、そのまま埋もれてしまうこともあるだろう。そうしたリスクが、2024年10月以降さらに高まる可能性があると島袋氏は警鐘を鳴らす。
「2024年10月1日から郵便料金が30年ぶりに値上げされるのです。25gまでの定形郵便物(封書)は84円から110円に31%も引き上げられますので、これを契機に請求書を郵送から電子に移行する企業が増えています。その際、Webダウンロード形式を選ぶ企業も多くなっていますので、請求書受領の際に見落としがないよう、今まで以上に留意する必要があるでしょう」(島袋氏)
「テクノロジー×人力」で精度とセキュリティーを担保
Webダウンロード形式に対応した受領代行を行っている請求書受領サービスは限られている。その中で多くのユーザーに支持されているのが、TOKIUMの提供する「TOKIUMインボイス」だ。Webダウンロード形式だけでなく、郵送やメール、FAXまであらゆる請求書の受領代行をしていることも大きな特徴となっている。
「Webダウンロード形式だけでなく、紙、PDF、FAXとさまざまな形式で受領できるのは、TOKIUMが請求書を受け取る体制に工夫を凝らしているからです」(永禮氏)
そうしたオペレーションを構築できるのがTOKIUM社の強みだ。人力とシステムを組み合わせることによってWebダウンロード形式やZIP化されたメール添付、FAXまで受領およびデータ化ができるのである。
着目すべきは、その受領する請求書形式の幅広さだけではない。データ化の精度の高さを担保するために、テクノロジーだけに頼らず人力をフルに活用している点だ。AI-OCRに加えて2000人以上のオペレーターがデータ入力を担う。オペレーターとAI-OCRの入力した値が一致しない場合は顧客の画面に反映せず、一致し続けるまで繰り返す「ダブルエントリー方式」で、99%以上※1のデータ化精度を実現。もちろん、あらゆる会計ソフトとの連携も可能だ。
セキュリティー対策を徹底しているのも見逃せないポイントだろう。島袋氏は次のように説明する。
「データ入力するオペレーターとは個別に秘密保持契約を締結しています。またオペレーターには請求書全体が見えないようマスキングされているため、請求書のすべての内容をオペレーターは知ることができません。スキャンなどの作業は入退室管理および防犯カメラによる監視を徹底した専用ルームで行うなど、セキュリティーには万全の配慮をしています」(島袋氏)
なお、請求書の受領代行に当たっては、取引先へ送付先変更を伝えるのが大きなタスクとなる。「取引先に対応してもらえないのでは」と懸念する人もいるだろうが、TOKIUMはそうした連絡の代行にも力を注いでいる。
「メールだけでなくはがきを送付したうえ、お電話でもお取引先にご連絡をしています。自社で行おうとすると取引先のリスト作成や一社ごとに連絡、その後の進捗管理など膨大な工数がかかります」(島袋氏)
上場企業250社以上が導入する「時間のインフラ」
あらゆる請求書の受領を一本化できることは、単純な業務効率化につながるだけではなく、支払い漏れなどのインシデントが発生しにくい体制の構築にも有効だ。
「受け取りが一本化できず担当者による受領が残ってしまう場合、ダウンロード形式の受け取りを忘れたり、紙の請求書のスキャンを忘れたりといったヒューマンエラーはどうしても発生します。こうしたことに起因する支払い漏れにも要注意です。
『支払い漏れ』が発生してしまうと、下請法に抵触するおそれも出てきます。下請法には、支払期日に遅れた場合、年率14.6%の遅延利息を支払う義務が定められているだけでなく、公正取引委員会が勧告を行う可能性があることも明記されていますので、こうしたヒューマンエラーが、企業価値・信用を著しく低下させることにもつながりかねません。また、支出の状況が可視化されたり月次決算の早期化も実現されたりしますので、経営の意思決定に寄与したいと考える企業にも多く導入いただいています」(永禮氏)
2500社を超える導入企業のうち、上場企業が250社以上を占めるのは、リスクを防ぐだけでなく経営に資するサービスという点が評価されているということだろう。「手入力とファイリングで2~3日かかっていた工数がゼロになった」「人員の配置を見直すことができ、より付加価値の高い業務が遂行できる組織編成が可能になった」といった声が寄せられているのもうなずける。
まさに「トキウム」と読む社名のとおり「未来へつながる時を生む」、時間のインフラとして機能しているTOKIUMインボイス。企業活動に不可欠な請求書受領業務のあり方を変える存在となるかもしれない。
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