ディズニーで進む「デジタル音痴の排除」の真因 資本主義の加速で「機械が人を選ぶ」時代に?

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ちなみに、キャッシュレス決済を使う層は、所得が高いことはアンケートでも明らかになっている(「年収で現金利用とキャッシュレス決済に差 年収が低いほど現金派が増加」/ITmedia ビジネスオンライン、2024年5月29日)。

東京ディズニーランドの前にあるボン・ヴォヤージュ
東京ディズニーランドの前にあるボン・ヴォヤージュ(筆者撮影)

したがって、結局はこうした「IT弱者排除」もまた、遠巻きに富裕層をその顧客層として選択していることにつながるだろう。

ディズニーのチケットアプリ
スマホの操作に不慣れだと今のディズニーは満足に楽しめないし、そうでなくともスマホの電池残量を気にする場所になっているかも(写真は筆者によるスクショ)

オリエンタルランドは、こうしたさまざまな政策で来場客をコントロールしようとしているようだ。

しかし、これがどうも人々にはよく受け入れられていないのが今の現実なのだ。

ただ、こうした「静かな排除」の傾向は、なにもディズニーランドだけで起こっているわけではない。むしろ、全都市的に発生しているといってよい。

最近東京に爆増する「再開発」されて新しく誕生した高層ビルの多くが、富裕層やインバウンドに向けられており、似たような形をしていることを私は東洋経済オンラインに寄稿した記事東京で急増『貧しい日本人を排除するビル』の矛盾で指摘した。

高層階にはラグジュアリーホテル、中層階はオフィス、低層階にはお高めのレストラン。庶民がふらりと入るには、立ち入れなかったり使えない場所が多すぎる。

むろん、こうした流れは上昇の一途を辿る地価を効率よく賄うためにはある程度必要な流れだろう。ただ、結果としてこうしたビルばかりが増えることにより、ある所得以下の人々が街から「排除」されているようにも思えるのだ。

階層が固定化し、都市が変化し、また階層が固定化

こうした流れの底には、「一億総中流」の幻想が崩れ、それぞれの階層が固定化される現代にあって、その階層に対応した都市や商業施設が誕生していることがあるだろう。

簡単にいえば、たくさんの人をその街や施設に入れて「量」を取る方向から、それぞれの階層の人を満足させる「質」を取る方向へと都市全体が進んでいる。都市機能の「分化」が進んでいるのだ。

こちらはトー横広場の真横に建つ東急歌舞伎町タワー。海外富裕層向けのホテルが上層部に入っているが、ホテルの中にはブランドショップなどが入居しておらず、一部では「ミスマッチ」との指摘もある(筆者撮影) 
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