侮ると危険すぎる「ドローン」のサイバーリスク 狙われるデータ、対策している企業はごく僅か

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同調査では、機体メーカー・機体関連機器メーカー、ドローンサービス提供事業者、ドローン活用ユーザー企業の136人から回答を得た。ドローンのセキュリティ対策は必要だと思うかの設問についての回答は、「とても必要だと思う:58.1%」「必要だと思う:39.7%」と大半の回答者が、ドローンのセキュリティ対策の必要性を認識している。

とくに心配な点については、「電波障害・GPS障害:73.5%」「墜落:73.5%」「ドローンで取得した情報漏えい(各種ログや映像・画像データ等):69.9%」「悪意ある第三者によるハッキング・乗っ取り:65.4%」「悪意ある第三者による脆弱性の悪用:45.6%」が上位を占めた(複数回答)。

ところが、ドローンのセキュリティ対策の実施については、「対策している:5.9%」「将来的な対策を検討している:16.2%」となり、対策の必要性の認識と実際の対策には大きなギャップがある結果となった。

セキュリティ対策実施率の円グラフ

対策の実施については予算上の課題もあると見受けられ、経営層を含めたドローンのセキュリティ対策の重要性についての意識向上が必要ではないかと思われる。

また、ウクライナ戦争以降、ドローンは戦いの中でも重要な役割を担い始めており、各国ではドローンの開発や製造が本格化している。

日本もウクライナ戦争以前は他国と同様にあまりドローンを重要視していなかったが、現状では防衛省もドローン向けに予算計上している。とくに日本は海に囲まれていることもあり、より航行範囲が広い固定翼機やVTOL(垂直離着陸機)のほか、水上ドローンや水中ドローンなどの開発や装備に力を入れている。

ドローン産業全体においても、防衛に寄与する中での研究開発が強くなってきているが、防衛関係のドローンは攻撃されるリスクも高い。

例えば昨今、カウンタードローンやアンチドローンの技術が向上している。これらの技術は、通常は不審なドローンに対して排除や攻撃などを行うものであるが、この技術が悪意ある第三者に渡ることで正常なドローンへの攻撃に利用されてしまい、セキュリティリスクにつながっていく懸念がある。そのため、より現実に即したセキュリティ対策が求められており、実際に高度化している。

このようにドローンは今、さまざまな分野での本格活用を目前に控える中、大きなリスクも抱えており、厳重なセキュリティ対策が必須になってきている。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
春原 久徳 一般社団法人セキュアドローン協議会会長

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すのはら ひさのり / Hisanori Sunohara

ドローン・ジャパン取締役会長。ArduX Japan取締役会長。現在、ドローン関連コンサルティング、ドローンソフトウェアエンジニア育成事業、ドローンによる農業サービス開発を行っている。三井物産のIT系子会社で12年、アメリカや台湾の企業とITコンポーネンツの代理店権の獲得および日本での展開を担当。その後、日本マイクロソフトで12年、PCやサーバーの市場拡大に向けて、日本および外資メーカーと共同で戦略的連携を担当。2015年12月、ドローン・ジャパン設立。各産業業界誌で多数執筆。農林水産省、NEDOや各業界団体でのドローン関連の講師も担当。

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