「洋画は見ない…」日本の"洋画離れ"に起きた異変 不振だったディズニーは様々な施策が成果出す

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とくに厳しいのが洋画だ。コロナ禍とその後のハリウッドのストライキの影響で作品供給が停滞した洋画は、劇場公開よりも自社プラットフォームでの配信を優先するアメリカのメジャー映画会社と日本の興行界との軋轢も重なり、シネコンの番組編成からすっかり消えた時期があった。そんな状況が、観客の“洋画離れ”を加速させたのだ。

洋画不況に直結したディズニーの不振

洋画を代表するディズニーの状況はどうだろうか。邦画と洋画のシェアがほぼ半々だった2010年代後半、ディズニーは100億円超えの大ヒットを毎年のように生み出し、50億円超えヒットは当たり前の洋画興行を牽引する存在だった。

歴代最高の年間興収を記録した2019年(2611.8億円)は、ディズニーは100億円超え3本(『アナと雪の女王2』『アラジン』『トイ・ストーリー4』)、50億円超え2本(『ライオン・キング』『アベンジャーズ/エンドゲーム』)と邦画を上回るヒット規模の作品を連発し、興行全体を大きく底上げしていた。

しかし、コロナ禍のディズニープラスへの配信シフトの試行錯誤を経て、状況は一変した。アフターコロナでは、期待されたシリーズ大作でも30億円台がやっと。かつての勢いを失ったディズニーのコロナ後の不振は、洋画不況そのものに直結していた。

ウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャー佐藤英之氏は、その頃の状況をこう振り返る。

「コロナ禍の後も安定して劇場公開作品の供給を続けることで、ディズニー作品のファンベースはしっかり保ってきていました。ただ、国内の映画マーケット全体としては、いったん冷え切ってしまった影響は大きい。加えて、ハリウッドのストライキの影響で、業界各社でハリウッド作品の供給が細っていたのがこれまでの実情です」

ディズニー
ウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャー佐藤英之氏(写真:筆者撮影)

一方、邦画はその間もどんどん作品を供給し続け、コロナ禍の作品不足時には、アニメ大作がシネコンのスクリーンを占拠した。

それ以降、アニメ大作をはじめ、スクリーン占拠が邦画大作のデフォルトの公開形式になることで、一般層の関心はイベント映画に集中するようになる。いつの間にか洋画は蚊帳の外になり、かつては大ヒットが当たり前だったディズニーでは、とくにその不振ぶりが際立った。

そうしたなか、ディズニーにとって実に5年ぶりの50億円台ヒットとなったのが、『インサイド・ヘッド2』(53億円超え)だ。

ディズニーの復活=洋画復興の狼煙に見えるそのヒットの背景について、佐藤氏は「作品のクオリティに尽きる」という。

インサイド・ヘッド2
『インサイド・ヘッド2』©2024 Disney. All Rights Reserved.
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