人気「ミックス犬」誕生の裏にある切なすぎる運命 「唯一無二の存在」と主張する人に言いたいこと

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

犬の起源は「狼」で、一部の狼がさまざまな進化、交配、自然淘汰などを繰り返し、最初の犬(交雑種)が誕生しました。そしてその国や地域にあった特性が維持されてきました。これが純血種の始まりです。

その後、世界各国で純血種の基準が設けられ、約200年前に犬種基準(スタンダード)が制定されました。これは、同犬種間の交配のみで誕生し、同じ特徴を持つ個体が産まれる(固定されている)ことが条件とされています。

国際畜犬連盟(FCI)は現在、355犬種を公認しています。

交雑種がFCIに犬種登録されることもありますが、そのためには、何世代か同じ血統同士の交配が継続され、犬種基準を確立する必要があります。少なくとも10年以上の年月がかかるこのプロセスは、しっかりとした目的と長期的な計画のもとで行われており、安易な考えで進められるものではありません。

ミックス犬は純血種より健康か?

ミックス犬を扱うペットショップやブリーダーの多くは、「ミックス犬は純血種より強くて健康」といううたい文句で販売しています。しかし、これまでの研究では、どちらが健康なのかを明確に示すものはありませんでした。

そんななか、テキサスA&M獣医学・生物医学科学大学(CVMBS)らから、こんな研究(報告が載っているサイトはこちら)が発表されました。

Dog Aging Project(DAP)の「Health and Life Experience Survey」に参加した2万7541頭から、純血犬種の約60%を占める25犬種を抽出。飼い主のアンケートから、それぞれによく報告される10種類の健康上の問題を特定し、これらの生涯有病率の推定値をミックス犬と純血犬種で比較しました。

その結果、ミックス犬が健康上の問題を抱える可能性は、純血犬種と同じくらいだとわかりました。

Dog Aging Projectの責任者でCVMBS小動物臨床科学部の教授でもあるケイト・クリービー博士は、「確かに、特定の犬種に頻繁に発症する疾患がいくつかあります。そのことから、純血犬種はすべてその疾患にかかりやすいという誤解が広まっていますが、実際はそうではありません」とコメントしています。

「ミックス犬はあり?なし?」という議論が勃発した背景には、さまざまな問題が散見されます。人気上昇の裏で、次に挙げるような問題点が指摘されているのです。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事