5度のがんを克服した男性「高額な治療は不要」 自由診療クリニックで味わった「苦い経験」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ネットを検索すると、「副作用の少ないがん治療」「ほぼ全てのがんに対応」「ステージ4でも諦めない」などの甘い言葉が並んだクリニックのページがたくさん見つかります。

自由診療クリニックの高額ながん治療の問題点

そうしたクリニックは、「免疫療法」「遺伝子治療」などといった治療を、数十万円から数百万円もかかるような高額な自由診療として提供しています。驚くほど高額ですが、有名大学や有名病院出身の医師が提供している場合もあり、期待してしまいそうになります。

しかし、本当にそれらの治療でがんが治るのであれば、その効果を裏づける十分なエビデンスがあるはずです。そして臨床試験を経て保険適用となって、高額な自由診療ではなく、保険診療として、総合病院や大学病院を含めた多くの病院で提供されているはずです。そうなっていないのは、有効性と安全性が確認されていないからです。「お金持ちだけが受けることができる最先端の秘密の治療」だからではありません。

全ての自由診療のクリニックを否定するつもりはありませんが、実際に、「治療」というより「医療ビジネス」として経営されている金儲け主義のクリニックもあるようですので注意が必要です。「ちゃんとした医師がやっているから大丈夫」とは必ずしも言えない世界なのです。

かく言う私自身も、こうした自由診療のクリニックに関して2つほど苦い経験があります。

約20年前に妹が乳がんで闘病していたときの話です。妹のがんは肝臓にも脳にも転移してしまったため、国立がん研究センター中央病院の主治医から「もう積極的な治療の手段がないので、そろそろ地元でホスピスを探し始めたほうがいいです」と告げられました。

それまでに免疫細胞療法について調べていた私は「自由診療の免疫細胞療法などは効果がないのでしょうか?」と質問しました。

もちろん答えは「効果はありません」というものでした。

続けて「もし先生が妹と同じ立場になっても、自由診療のがん治療は受けませんか?」と質問しましたが、もちろん答えは「受けません」というものでした。

あまりにもきっぱりした回答だったこともあり、自由診療に期待することはやめました。

それでも、妹が治ることを諦めてホスピスを探すということは、私も妹の夫もどうしてもできず、治す方法がまだあるはずだと信じて、代替療法を提供する病院に妹を連れていったりしました。

しかし残念ながらしばらくの後、妹は天国に旅立ってしまいました。

また実は私自身、自由診療の漢方専門クリニックで高濃度ビタミンC点滴を受けた経験があります。このクリニックにはがんの再発予防と帯状疱疹後神経痛の緩和を目的に行ったのですが、問診の後この高濃度ビタミンC点滴を勧められ、「なぜ漢方医がビタミンCの点滴を?」と思ったものの「がんにも痛みにも効くから」と言われ、半信半疑で点滴を受けました。

次ページがんを治すのに最も確実で安全な道
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事