"日本で最も消滅が近い村"で目撃した過疎の実態 高齢化率7割の群馬県南牧村が抱く苦悩と希望

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喫茶店を後にして、県道沿いにあった道の駅「オアシスなんもく」に立ち寄った。この施設もMINNAなんもくが運営し、現在10人ほどの職員が働いている。

群馬県南牧村の道の駅
県道沿いに立つ道の駅では、特産のこんにゃくなどを販売。地域の有力な雇用創出先でもある(記者撮影)

売店では数人の高齢者が買い物をしており、特産であるこんにゃくや野菜が売られていた。店内の会話が耳に入ってくる。

「最近、中学校と小学校が一緒になったんですよね」「そうなんですよ。村にまだ何とか学校が存続しているのは嬉しいんですけどね」

道の駅からほど近い場所に、「なんもく学園」という真新しい標識が立っていた。児童・生徒数が減った村立南牧小学校と南牧中学校が統合される形で、1~9年生が所属する義務教育学校として今年4月にスタートした。現在の児童・生徒は合計20人にとどまる。

近づいてみると、学校の児童だろうか、校舎前に腰掛ける2人の子どもが目に入り、甲高い話し声だけが静かな構内に響いていた。

村長が語る「地方創生」の現在地

午後1時頃、村役場を訪問し、長谷川最定(さいじょう)村長(71)から話を聞いた。南牧村出身の長谷川村長は、村役場の職員を経て、2014年に村長選で初当選し、現在3期目だ。

長谷川村長によると、村は急傾斜地が多く、水はけのよい立地条件から、高度経済成長期まではこんにゃく芋の生産で高収益を上げた。しかし農業の機械化が進むと、こんにゃく芋の価格は下落。平地が少なく、交通の便も悪い土地柄もあって、他の農業への移行といった新産業創出や産業誘致もままならず、時代が進んだ。

高度成長期からすでに人口が減少していた南牧村は1990年頃には、高齢化率が現在の日本平均(29%)並みに達していた。長谷川村長は「国全体で高齢化が進む3倍、5倍のペースで進み、35年かけ高齢化率は70%近くになった」と説明する。

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