ジョーさんは新卒で外資系IT企業に就職。その後脱サラし、代理店販売業を営んでいた。しかし、昼夜も曜日も関係ない働きづめの生活に疲れきってしまう。「一度、自分のやりたいことに時間とお金を全部つぎ込んでみよう」。そう決心したジョーさんは、1年ほど食うに困らないお金を手に、片道切符でヨーロッパへと飛んだ。
「近場のアジアでの貧乏旅行しか経験がなかったので、海外旅行はこんなに楽しいのかとイメージが変わりましたね。家賃がもったいなかったので、一時帰国したときに住民票を抜いて、100カ国を目指して世界中を旅して回りました」
途中からは、知り合いに頼んでウェブサイト制作の仕事を振ってもらい、旅をしながら細々とウェブエンジニアの仕事もするようになっていった。
国内旅行でホテルの会員ステータスを意識
訪問国が108カ国に達した2020年、世界を新型コロナウイルスが襲った。
リモートワークが浸透し、“ホテル暮らし”や“ワーケーション”という言葉がメディアに登場。「自分は2年前からやっているんだから、このまま続けてみようかな」と考え、今度は国内を旅するようになる。
国内では、海外旅行であまり縁のなかった「いいホテル」に泊まることが増えた。すると、ホテルチェーンごとに特徴があるとわかり、知らないホテルには行ってみたいと思うように。上級会員になれば部屋のアップグレードなどの特典があるとわかり、ジョーさんは会員ステータスを上げることも考えながらホテルを巡るようになっていく。
「ステータスのためだけなら、同じホテルに泊まり続けてもいいんです。それでも移動して全国のホテルを巡るのは、未知の場所を自分の目で見て確かめたいから。同じ系列のホテルでも地域ごとの特色があったり、周辺の環境で雰囲気が変わったりする。その違いが楽しいんですよ」
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