そんなホテルに訪れるゲストは、車を使う職業の男性が中心だ。なかでも、大型車両を使う工事関係者や、スポーツ関連の団体などによく利用されている。リピーターが多く、法人や企業が長期間押さえることも。2023年の広島サミットでは、警察団体が2~3週間連泊していた。
ちなみに、インバウンドの利用はほぼゼロ。避けているわけではないが、郊外型でインバウンドに使いづらい立地で、自然とそうなっているそうだ。とはいえ、気候や疫病に左右されやすいインバウンドを当てにしたことはなく、リピーターを主体的に考えている。
ある意味それがリスクヘッジとなり、功を奏したのがコロナ禍だ。一部の工事が止まってその関係者が減るなどの危機はあったそうだが、辛くも赤字にならず、黒字で推移できたという。
真の魅力は「わかりやすさ」にあり
ここまで特徴を語ってきたが、ゲストから見ると、AZホテルとはどんな存在なのだろうか。一大拠点である九州に住む友人に聞いたところ、「シンプルでわかりやすいホテル」という答えが返ってきた。
その最たるものは均一価格だが、もう1つ象徴的なのが「AMAZE RAINBOW CARD」という会員カードだ。こちらのカード、通し番号は付いているのだが会員管理はしておらず、役割としては、宿泊時に配るだけのクーポン券のようなもの。
公式HP以外から予約しても、このカードを宿泊時に持っていくか、予約時にカード利用の電話をすれば、いつでも330円割引されるシステムだ。ホテルの利用方法もまたシンプルで、例えば、24時間いつでもドアから出入りOK。そのために、受付カウンターにスタッフが24時間常駐している。
一方で、シンプルさは客室にも共通している。レイアウトは近年統一しており、インテリアは基本、ベッド、デスク、ライト、そしてユニットバスのみ。アイテムはテレビ、ドライヤー、湯沸かしポット。過不足なく、華美ではないすっきりとした空間だ。
価格もサービスも客室も、とにかくシンプルでわかりやすい。そうしている理由を問うと、「誰でも迷わず利用できるようにするため」と広田氏。そう、ここにもESLPのコンセプトが一貫しているのだ。
加えて、設備もサービスも過剰にオプションをつけると、人的コスト、運用コストが発生する。オペレーションもシンプルでわかりやすくあることで、それらを削減できているのだ。
ホテルのスタッフは1ホテル9名~と決して多くはないが、このシンプルさゆえに、現場は無理なく回っている。
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