今こそ日本とイギリスが関係強化すべき3つの理由 「トランプ2.0」に備え、インド・太平洋地域にも重要
その後、本格的に日本にイギリス型立憲君主制が導入されたのは、第2次世界大戦後のGHQ(連合軍総司令部)が中心になり制定した日本国憲法である。すなわち、天皇を象徴としイギリス流の「王は君臨すれども統治せず」が受け継がれた。
このように、近代の日本は、イギリスをモデルとして、技術や国家体制、民主主義の在り方など多くをイギリスから学んできたと言える。
インテリジェンスを日本は学ぶべき
そして今日、イギリスから学ぶべきことは世界を見る目、すなわち国際情勢分析力だ。歴史に「もし」という言葉はないが、日露戦争を勝利に導いた「日英同盟」が、もし続いていたら、日本が太平洋戦争の道を進むということはなかったであろう。
国家としてのインテリジェンス(情勢分析力)だけでなく、国民レベルでのインテリジェンスと判断能力が、戦前の日本においては明らかに欠けていた。民主主義国家としては、国民のインテリジェンスが国家の運命を決める。
3つ目の理由は、両国の「現代の国際社会における類似したポジション」である。どちらもG7国であり、またアメリカとの同盟国である。ストックホルム国際平和研究所によれば、防衛費ではイギリスは世界第6位、日本は10位とミドルパワーとしての防衛力を持つ。
しかし、日本が予定の防衛費を増額すれば3位に浮上するという試算もある(これは、各国の軍事費が現状のままであればという前提での試算なので、現実的ではない)。いずれにせよ、日本とイギリスが共同すれば、インド太平洋の安定性は大きく増す。
実は、両国の防衛面での協働はすでに始まっており、その代表例は、次期戦闘機の共同開発だ。イタリアを加えた3カ国で開発を行い、2035年に初号機を配備するという計画である。日本にとってアメリカ以外との共同開発は初めてのケースとなる。
戦闘機の共同開発のためには、お互いの防衛ニーズや技術情報もシェアすることになり、信頼関係がなければできない。
また2021年9月に、最新鋭のイギリスの空母クイーン・エリザベス号が、初の作戦航海として横須賀のアメリカ軍基地に寄港した。寄港地となるということは、空母の整備や航空機(F35B)の整備なども可能という信頼関係が必須である。
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