神姫バス、28万円「超豪華」ツアー用新型車の狙い 瀬戸内海を周遊、「路線バス」としての展開視野

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もう少し手軽に利用できる日帰りプランも用意した。現代アートで知られる直島を訪れるコース(3万9000円)は、新神戸を出発して岡山県の宇野港からフェリーで直島へ渡り、「家プロジェクト」や「ベネッセハウスミュージアム」を見学する。淡路島のコース(4万8000円)は、鳴門のうずしおクルーズや人形浄瑠璃の鑑賞が主なコンテンツだ。

神姫バス社長と水戸岡氏
神姫バスの長尾真社長(左)と工業デザイナーの水戸岡鋭治氏。1号車は暖色系の内装(記者撮影)

2024年2月、富山県富山市にある三菱ふそうバス製造の「ウェルカムセンター」を神姫バスの長尾真社長と水戸岡氏が訪れた。水戸岡氏は「手間をかけて床も天井も木で作ったオンリーワンのバス。製造現場は大変だったと思うが、鉄道車両でもやったことのないような思い切ったバスができた」と感想を述べた。

路線バスとして乗れる?

デビューを控えた車両を前に長尾社長は「私たちが毎日見ている瀬戸内海は第一級の景勝地。大阪や京都などオーバーツーリズムとなっているエリアから観光客を呼び込むきっかけにしたい」と狙いを説明。そのうえで「路線バスとしても使える仕様にしてあるので、高速道路をあまり通らない、瀬戸内の海岸線の旅をゆっくり楽しんでもらえる運用をしていきたい」と話す。

神姫バス YUI PRIMA OLIVIA 後部から
車体のカラーは瀬戸内の海をイメージしたという(記者撮影)

同社によると2025年春以降、コース上に停留所を設けて、自由に乗り降りできるスタイルを目指すという。地元のバス会社などほかの交通事業者とも連携を図る。

“運賃”はそれなりの金額になるとみられるが、実現すれば瀬戸内エリアに「超豪華路線バス」が走ることになる。バスは安価な移動手段のイメージが強いだけに、時間と費用をかける旅のメリットをいかに国内外に発信していくかが今後の課題となりそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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