台湾のIT(情報技術)製造業は現在、「AI特需」に沸いている。半導体最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がエヌビディアなどのAI向け半導体のチップ製造を一手に受託していることは有名だが、実はAIサーバーにも恩恵が来ている。サーバーメーカーは中国などにも存在するものの、特に台湾EMSに発注が集中しているのだ。理由は大きく2つある。
1つは生成AIの学習・推論に特化したAIサーバーが強力な画像処理半導体(GPU)や高速メモリーを搭載していることだ。データ保管やネットワーク管理にも使う一般のサーバーに比べて消費電力が多いうえ、発熱量も大きい。台湾にはサーバーの電源管理や冷却に使う周辺機器の優秀なサプライヤーがそろっている。
もう1つは米中ハイテク摩擦の影響だ。エヌビディアのAI半導体はアメリカ政府による対中輸出の規制対象となっている。AIサーバーの発注者である「GAFA」などアメリカIT大手が情報セキュリティーの観点から中国以外での製造を望む例も増えている。EMS最大手の鴻海は現在、これらの追い風をフルに享受できる位置にいる。
劉氏はこの日の総会で、別の新規事業であるEVや工業用ロボットの受託製造の運営状況も説明した。これらのハードウエアもAI化で付加価値を高め、受注拡大を目指す方針を強調していた。鴻海は従来、パソコンやスマホなど汎用ハードウエアを大量に受託製造するビジネスモデルで成長してきたが、AIを軸に収益力を向上させる姿勢を鮮明にしている。
「リリーフ経営者」が化けた
鴻海で半導体事業の責任者などを務めた劉氏は2019年6月、「3+3」と呼ぶ経営戦略を掲げて董事長に就任した。「EV」「ロボット」「デジタルヘルス」という3つの成長産業を「AI」「半導体」「次世代通信」の3つの新技術で開拓するという意味だ。
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