厳戒態勢で発表された「新型フェラーリ」の啓示 車名をズバリ「12チリンドリ=12気筒」とした訳

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「でも、私たちが投資家向けのキャピタルマーケットデイで説明したのは、私たちはこの先も、内燃機関、ターボ技術、ハイブリッド技術、電気、あらゆる技術に投資を続けていくということでした。世界を見ると、状況や規制にフレキシブルに対応していくのが重要ですから」

車名をずばり12気筒(チリンドリ)にしたことに対して、「ここで打ち止め、という記念的な意味が込められているのだと思ったが」という質問もあったが、ガリエラ氏は「むしろ逆」だという。

インテリアは近年のフェラーリに則ったものでクオリティも高い(写真:Ferrari)
インテリアは近年のフェラーリにのっとったものでクオリティも高い(写真:Ferrari)

「今の12気筒エンジンは、ユーロ6eの規制をクリアしています。そのため、2026年までは今のままで作り続けることができます。その先について、この場で言うことはできませんが、さまざまな規制から12気筒エンジンの継続生産をあきらめるメーカーが多い中、私たちはそれを作りつづける技術を持っています」

フェラーリの伝統はこれからも守られる

フェラーリは、1947年に送り出した「125S」なるモデル以来、連綿と12気筒エンジンを作ってきた。もちろん、今は量産モデルに6気筒もあればプラグインハイブリッドもあり……と、パワートレインの多様化が進んでいるのは事実だ。

しかし、12気筒は12気筒。上記のような事実もあり、フェラーリにとっては特別なエンジンであり続けている。

12気筒エンジンを操るのは8速DCTで変速はパドルシフトで行う(写真:Ferrari)
12気筒エンジンを操るのは8速DCTで変速はパドルシフトで行う(写真:Ferrari)

「市場からの『12気筒モデルをなくさないでほしい』という声も大きく、私たちはむしろ今、12気筒の可能性をさらに追求しています。12チリンドリという車名は、私たちの12気筒への愛を再確認するためのものなのです」

CO2規制をはじめ、パワートレインにまつわる規制がどんどん厳しくなる中でも、「12気筒エンジンでサーキットも速く走れるクルマ」というフェラーリの伝統は守っていくのだ。

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技術者やデザイナーが、その仕事を楽しんでいるのか、それともたいへんな困難を乗り越えながらやっているのか、そこは私にはわからないけれど、市場が歓迎していることは間違いない。

12チリンドリのクーペ39万5000ユーロ(VAT税込み・1ユーロ=約168円で約6600万円)、スパイダー43万5000ユーロ(同約7325万円)という価格だって、市場に歓迎されていなければ、実現できなかっただろう。

【写真】クーペとスパイダー「12チリンドリ」の内外装(80枚以上)
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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