メガバンク3社で「3兆円」でも市場に漂う失望感 さらなる業績上振れ期待も、PBR1倍は遠く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

市場では16年ぶりの自己株買いもささやかれたが、「成長投資もしないといけない。(自己株買いを行うには)もう一段資本が欲しい」(木原社長)とやはり見送り。これが一部投資家の売りを誘ったようだ。

唯一前向きな評価を受けたのは、上限1000億円の自己株買いを発表した三井住友FGだ。同社はコロナ禍の2020年3月期を除いて、年間1000億~1500億円の新規取得枠を設けており、今回も順当な還元策と受け止められた。同時に発表した1対3の株式分割も、株価を押し上げる一因になった。

かつてなく高い投資家の期待

次の焦点は、今期の中間決算で株主還元が上乗せされるかどうかだ。「収益状況も見て、中間期に議論したい」(三菱UFJFGの亀澤社長)、「視野に入っていないとは申し上げない」(みずほFGの木原社長)。首脳の発言からは、自己株買いへの関心がうかがえる。

各社が目標とするPBR(株価純資産)1倍は、しばらくは逃げ水を追う状況となりそうだ。一般に、PBRの分母となる1株当たり純資産は、直近の本決算期末の数値を参照する。本決算をまたげば純資産が膨らむため、その分だけ株価が上がらなければPBRは下がってしまう。

3月に1倍を取り戻した三菱UFJは、決算発表を受けた株価下落で再び1倍を割ってしまった。三井住友FGは0.8倍台、みずほFGも0.7倍台でくすぶる。

青天井とも言える投資家の期待。「ポジティブサプライズ」を与えるハードルは、かつてないほどに高い。

一井 純 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事