12. ガバナンス改革から10年、今後の課題は
2014年8月に、経済産業省「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクト」の最終報告である、通称「伊藤レポート」が発表され、今年で10年になる。
伊藤レポートは東京証券取引所が2015年6月に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の基礎になっている。実際、この10年で日本企業のガバナンスは大きく変化し、海外機関投資家から一定評価を得られるレベルまで向上している。
とはいえ課題もある。金融庁では「コーポレートガバナンス改革の実質化」として継続した取り組みを行っている。その中のフォローアップ会議で「企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた課題」として以下の点を指摘している。
- 資本コストを踏まえた収益性・成長性
- 人的資本を含むサステナビリティ課題への取り組み
- 独立社外取締役の機能発揮等
金融庁としては、コーポレートガバナンス改革の趣旨に沿った実質的な対応をより一層進展させるため、形式的な体制の整備ではなく、 企業と投資家の建設的な対話の促進や、企業と投資家の自律的な意識改革の促進を主眼としているようだが、なかなか改善は難しい。
上場企業の情報開示を見る限り、そもそも上記などの課題を多くの経営層は理解していないし、そもそも理解しようとしていない印象がある。また、対応をするにも長期的にかつ戦略的に取り組む必要があり、これも簡単な話ではない。
コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム 概要
13. ESG投資の“ブーム”は終わったのか
アメリカ中心に現在進行形で進む「反ESG」に注目が集まっている。2021年以降、気候変動に懐疑的な共和党の影響力が強い州では、ESG投資に対する投資家への規制が近年強まっている。
規制の広がりを受け、一部の資産運用会社はESG投資に慎重になり、「ESG」という表現を控えるようになった機関投資家も増えている。また世界の大手金融機関で気候変動等を考慮する国際イニシアティブから脱退するケースも増え、2024年の米大統領選の動向によってはさらに反ESGの動きが広がる可能性もある。このようにESG投資が下火になってきているようにも見える。
この記事は有料会員限定です
残り 1773文字
