学会婦人部の「アイドル」公明・山口代表の苦悩 "下駄の雪"脱却と「自公選挙協力不可欠」の矛盾
また、これに先だつ17日の自民党大会でも、連立与党の党首としてあいさつした山口氏は「連立政権は2012年に政権奪還して以来、最大の試練に直面している。連立合意には、国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯に政権運営に努めると書かれている」と指摘したうえで「その言葉が今ほど胸に響く時はない」と自民党の猛省を促し、そそくさと退席した。
「武器輸出」問題では“腰砕け”に
その一方で、政倫審騒ぎと同時進行となった「武器輸出問題」では、自民、公明両党が19日、それぞれ開いた党会合で、次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する閣議決定案と、防衛装備移転三原則の運用指針改正案を了承。これを受けて政府は来週26日の閣議と国家安全保障会議(NSC)9大臣会合で決定する段取りを決めた。極めて異例な個別の装備品輸出に関する政府方針の閣議決定の背景には公明への配慮があり、公明側も“腰砕け”となったのが実態だ。
このように、現在の自公関係は「相互批判となれ合いが複雑に交錯している状態」(自民長老)だが、「双方が不協和音を飲み込まざるを得ないのは、次期衆院選での選挙協力が不可欠」(同)だからだ。岸田首相にとって当面最大の関門となる4月28日投開票のトリプル補選でも、「自民が全敗を免れるには、公明との協力がカギ」(自民選対)であることは間違いない。なかでも、与野党入り乱れての大乱戦となる東京15区で、自公都連が水面下で小池百合子知事との連携を模索しているのは、その延長線上の動きでもある。
そもそも、山口氏は2022年の代表8選後、「次こそ後進に道を譲る」と周囲に漏らしてきた。ただ「その前提は、退任前に衆院選実施だった」(側近)とされ、公明党内でも衆院選前の代表交代に慎重論が強まっている。それもあって、ここにきて「岸田首相による解散断行は困難」(閣僚経験者)との見方が広がると、山口氏はさらなる続投にも含みを持たせるようになった。
その最大の要因は、後継代表候補と目される石井啓一幹事長(66)の立場の弱さだ。基本的に次期衆院選では、参院議員の山口氏は選挙応援に全力投球できるが、衆院埼玉14区から出馬予定の石井氏は「当選確実とは言えない」(公明選対)ため、自らの選挙に専念せざるを得ないからだ。
しかし、山口氏が続投して代表9期目に突入すれば「党内での長期政権批判は避けられない」(若手)ことから、衆院選対応を理由に山口氏の任期を延長する「弥縫策」も浮上している。ただ、その場合も「そんな状況で代表を続ければ、いわゆる『下駄の雪』からの脱却は不可能とのそしりは免れない」(同)だけに、山口氏の苦悩は深まるばかりだ。
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