では、「部長以上」の異動はどうするのか。私の会社では上層部の役員同士の間で決められていた。人事部はその結果報告を受けるだけで、決定までの内幕を知ることはできない。ここは人事担当が手を出せない“聖域”である。
部長以上のポストが内々に決まると、いよいよわれわれ人事担当の出番。次長・課長以下の社員たちの異動計画の立案に乗り出すわけだ。
優秀な部下を囲い込む部長と対決
とある部署で、課長として活躍していたAさん(34)という男性社員がいた。
非常に優秀でチームマネジメントにも長けており、成績もグングンと上げている。人事担当としては、Aさんに最重要セクションに異動してもらい、さらなる戦力になってほしいと考えていた。
語学が堪能なAさんは、海外拠点とのやり取りも多い最重要セクションに行けば、一段と実力を発揮できる。Aさん自身も、海外志向があることから、この異動は今後の海外赴任の布石にもなると考えた。
そこで、Aさんの他部署への異動について、直属の上司である部長Bさん(48)に打診。すると、柔和な顔が一変、険しい表情で即答した。
「ダメです。Aさんの異動だけは許可できません!」
強い口調で一刀両断されたので、私はひるみながらも理由を聞くと、「まだ下のスタッフが十分に育っていないし、今、彼に抜けられたら非常に困る」の一点張り……。
ならば、と私はAさんが異動した場合の後任候補について言及した。
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