西鉄天神大牟田線「隣駅から徒歩5分」新駅の背景 駅間距離最短、福岡市南部に開業「桜並木駅」

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改札は2階で、西鉄福岡(天神)寄りの「北改札口」と大牟田寄りの「中央改札口」の2カ所を設けている。1階に1区画、2階には3区画の店舗スペースもあり、テナントについては「夏頃の開業を目指して現在協議中」(西鉄広報担当者)だ。

桜並木駅きっぷ売り場
きっぷ売り場の看板や運賃表にも桜の花をあしらっている(記者撮影)
桜並木駅 改札
桜並木駅の中央改札口(記者撮影)

天神大牟田線の駅には「T01」のようにアルファベットのTと数字を組み合わせた駅ナンバーが付いており、桜並木駅は「T08」。路線の中間に新たな駅ができると駅ナンバーを1つずつずらす必要がありそうだが、西鉄は2017年2月に駅ナンバーを導入した際から新駅の開業を見込み、T08を欠番としていた。このため、各駅のナンバーは変わらない。

停まるのは普通列車のみで、2024年3月16日改正のダイヤでは上り、下りともに日中1時間当たり6本が停車する。

もともとは「駅移設」の予定だった

新駅の周辺は博多区南部の住宅地。直線距離で約700m南西にはJR鹿児島本線の南福岡駅がある。同線は福岡市のもう1つの中核、博多に直結する路線だ。だが、新駅設置の理由は新たな宅地開発でもJRへの対抗でもない。もともとは、「雑餉隈駅を移設しようとしたこと」(西鉄広報担当者)がきっかけだった。

西鉄雑餉隈駅
雑餉隈駅は桜並木駅から約500mしか離れていない(記者撮影)

雑餉隈駅は1日平均約1万4200人(2022年度)が乗降し、天神大牟田線でも比較的利用者が多い。一方で、駅周辺が手狭なため駅前ロータリーなどの整備が難しく、最寄りのバス停もやや離れているほか、ホームがカーブしているなど安全面でも課題があった。

そこで、同駅付近の連続立体交差化検討とともに、駅を改良して交通結節点とすべく移設する構想が浮上。新たな場所として白羽の矢が立ったのが、線路沿いに西鉄バスの営業所(雑餉隈自動車営業所)やグループ会社の事務所といった西鉄所有の土地が広がっていた、現在の桜並木駅の位置だった。

桜並木駅近く西鉄バスの車庫
桜並木駅の南側には現在も西鉄バスの車庫がある(記者撮影)

ただ、雑餉隈駅の地元からは従来の位置での存続を求める声があったといい、協議などを踏まえて2007年ごろ、移設ではなく新駅を設置することに決定。こうして隣駅から約500mという極めて近い場所に新たな駅が誕生することになった。

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