中国新興EV「理想汽車」、通期で初の黒字化を達成 2023年の販売37万6000台、24年は80万台目指す

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とはいえ、理想汽車の経営の正念場はむしろこれからだ。「2024年は過去に例のない新型車ラッシュの1年になる」。同社の創業者でCEO(最高経営責任者)を務める李想氏は、決算説明会でそう宣言した。

初の純EVの高級ミニバン「MEGA」は、理想汽車が好調を持続できるかどうかの試金石になりそうだ(写真は同社ウェブサイトより)

理想汽車の計画では、まず3月1日に同社初の純EVとなる高級ミニバン「MEGA」を発売。と同時に、既存の3車種のレンジエクステンダー型EVに年次改良を施し、2024年モデルとして投入する。

さらに、新型のレンジエクステンダー型EVを1車種と純EV3車種を相次いで発売し、2024年の販売台数を(2023年の2倍を超える)80万台に引き上げる野心的な目標を掲げている。

純EV参入で利益圧迫の懸念も

だが、理想汽車を待ち受ける市場環境は過酷だ。中国の自動車市場は2023年から激しい価格競争に突入し、2024年に入ってますますエスカレートしている。なかでも純EVは競合車種が(レンジエクステンダー型EVに比べて)段違いに多く、後発の理想汽車にとっては(対抗値下げが不可避なことによる)収益の圧迫要因になりかねない。

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そんな懸念に対して、理想汽車のCFO(最高財務責任者)を務める李鉄氏は「わが社の純EVはレンジエクステンダー型EVと同水準の25%前後の粗利率を確保できる」と、決算説明会で楽観的な見通しを語った。

その根拠について李鉄氏は、車載電池の原材料(であるリチウムなど)の価格が大幅に値下がりしていることを挙げ、「理想汽車にとって絶妙なタイミングで純EVに参入できる形になった」と自信を見せた。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月27日

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