テレビ局の株価が今になって「爆上がり」した必然 日テレの"発表"が引き金、キー局は軒並み高騰

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日テレの方針転換に、投資家がここまで反応するのにはわけがある。

ちょうど1年前、東京証券取引所は株価を1株当たり純資産で割った値であるPBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業を問題視し、改善策を開示・実行するように要請した。

しかし現状、キー局は軒並みPBR1倍割れの状況を脱せずにいる。日テレは昨年5月に資本効率改善のための計画を開示しており、今回の発表も東証の要請を踏まえた措置とみる向きは多い。

テレビ局のPBRが低い要因は複数あるが、その1つが政策保有株(純粋な投資ではなく、取引先との関係維持などを目的に保有する株式)の多さだ。これらによって純資産が膨らみ、PBRの下押し圧力となっていた。

民放キー局の政策保有株残高

過去にも各局は、物言う株主からたびたび政策保有株の放出と株主還元の強化を求められてきた。

例えば、半導体製造装置大手の東京エレクトロンの株式だけで2600億円近く(2023年3月末時点)を保有するTBSホールディングス(以下、TBS)。イギリスの投資ファンド、アセット・バリュー・インベスターズは2018年、同社に対し次のように激しく迫っている。

「会社の資産価値の半分を国内有価証券という小さな器に集約していることにかかるリスクについて、十分な説明も正当性の提示もできていません。(中略)東京エレクトロンの株式保有の合理性を説明することはできません」

政策保有株の放出は進むものの…

こうした圧力を受けてか、ここ数年はTBSをはじめ各局とも、政策保有株の売却を進めてきた。ただ、ここで新たな課題として浮上しているのが、売却資金の使い道だ。

最もわかりやすいのは、物言う株主が求めるような株主還元の強化だろう。今回の日テレに限らず、TBSやフジは政策保有株の売却資金を元手に積極的な自己株取得を進めており、これらは直接的に株価の上昇にも貢献してきた。

一方で、そう簡単に自己株取得に踏み切れない局もある。

朝日新聞や東映を大株主とするテレビ朝日ホールディングス(以下、テレ朝)は、流通株式比率が比較的低く、自己株取得を行うとプライム市場の上場維持基準である35%を割ってしまうリスクがある。

また放送法では放送の多元性などの確保を目的に、テレビ局を傘下に持つ認定放送持株会社に対する議決権保有の上限を3分の1までと定めている。その点、テレビ東京ホールディングスは、筆頭株主である日本経済新聞がすでに3分の1近い株式を保有しており、自己株買いによってそれが3分の1を超過するリスクを抱える。

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