たとえば、ヘリテージ財団は「プロジェクト2025」と称する政権移行事業で、トランプ氏に忠実な人物に絞った人材データベース「保守派リンクトイン」を準備している。最終的にはトランプ氏と同氏が指名する政権幹部が政策を方向付けるであろう。
ただし、多くの政権幹部は上院の承認も必要とする。政策の行方を占う上で、政権幹部人事は最大の注目だ。
トランプ支持派が「一部の官僚が裏で政策を実施している」と信じる陰謀論「ディープステート」について、トランプ氏は一掃を公約する。
現在は官僚のうち約4000人が政治任用者だが、「スケジュールF」(政策立案に関わるキャリア官僚の新たな政治任用カテゴリー。雇用保護を撤廃し、大統領が解雇しやすくする。第1次トランプ政権で大統領令を発行したが、バイデン政権が覆した)によって、その10倍以上を政治任用の対象とする可能性もある。
トランプ政権が「スケジュールF」の導入を試みた場合、議会の反発や公務員の労組などから提訴が見込まれ、導入は容易ではない。なお、ジョージタウン大学のドナルド・モイニハン政治学教授によると、政府が政治任用を増やすと汚職問題は拡大し、より非効率になるという。
バイデン家を捜査、司法省が「政争の具」に
1期目と異なり、トランプ氏は政策以上に政敵に対する報復を選挙戦で前面に出しているようにも見受けられる。トランプ氏は再選を果たした場合、バイデン家を捜査する特別検察官を指名することを公約している。司法省は「政争の具」として利用され、ウォーターゲート事件以降、守られてきた司法省捜査の独立性の伝統が崩されるかもしれない。
第1次政権末期の議会乱入事件でも顕著であったように、2020年大統領選結果を覆そうとするトランプ氏の試みを、司法そして立法が阻止し、三権分立がまだ健在であることを証明した。
しかし、トランプ氏は「憲法に基づき、大統領は何をしても良い権利を保有している」と2019年に支持者集会で語っている。保守派は大統領権限を拡大することを提言している。「トランプ2.0」では政権発足当初から、三権分立を蝕む取り組みが始まるかもしれない。
この他、連邦通信委員会(FCC)や連邦取引委員会(FTC)など伝統的に中立の立場をとってきた独立規制機関までも、大統領の意向で動くこととなるかもしれない。さらには連邦準備銀行にも政治的影響が及ぶ可能性さえ懸念されている。
この記事は有料会員限定です
残り 1934文字
