窮地の国産「和紙原料」から誕生した菓子の正体 お菓子とお茶で地元産の楮(こうぞ)を支援

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国内産楮の生産は、全国で激減

重要無形文化財指定との関係で、国内産の楮を使わなくてはいけない細川紙は別にして、日本各地の手すき和紙は、輸入にも頼ってきた。かつては、中国、タイ、南米などから輸入していた。しかし、全国手すき和紙連合会の事務局、山下泰央(やすたか)さんは「南米やフィリピンからの輸入はなくなりました。現地でコーディネートしていた人が廃業したなどが理由です」と、輸入による供給も不安定と明かす。

全国手すき和紙連合会は、38団体からなる。「個々の団体や個々の工房で楮づくりをやられているが、数量など実態は把握できていない」(山下さん)という。

日本特産農産物協会の資料から作成したグラフをみると、楮の国内収穫量(黒皮換算という方法で集計)は、激減。60年ほど前の1965年には3170トンだった楮の国内収穫量は、ここ5年ほどはその1%ほどの量で低迷している。

細川紙技術者協会が「研修用の楮の地楮率を高めたい」という背景には、国内産の楮が減るなか、とにかく地元で楮を確保しなければ技術の伝承ができない、という危機感がある。取材に同席した小川町教育委員会の担当者は「人手と場所と、やっぱりお金ですよね」とため息をついた。

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