借金9億円を返済した2代目社長のすごい手腕 アウェーの中で社内改革を進めた工夫とは
9億円の借金を背負ったわけ
24歳で入社してから私は先代社長である市川文胤の「社長付き」となり、工場作業から営業、クレーム対応、総務まですべてカバーする「なんでも屋」として働いていました。
運転手兼雑用でずっと仕事をして少し経ったころ、当時の総務部長が高齢で退職することになり、私が総務を担当することになりました。すると、なんと約9億円もの借金があることが判明したのです。あまりにも暗澹たる未来に考えこむことが多くなりました。
考え抜いた末にたどりついたのは、「親父の目が黒いうちに借金を返すしかない。いや、全部返せないまでも、俺が背負えるだけの額にすれば会社は潰れない」ということでした。
会社の借金を減らすには、方法は2つしかありません。ひとつは、入ってくるお金を増やすこと。つまり、売り上げを増やしたり、投資先からの利益を得たりすることです。もうひとつは、出ていくお金を減らすこと。経費、会社として購入したものの支払いを減らすことです。
返済原資をつくるために最初に考えたことは、後者の「出ていくお金を減らす」ことでした。売り上げは簡単には増やせませんし、当時は暗黒時代で、営業部からの報告もあてにならないものでした。
そこで、私は、たくさんのムダ遣いを見直し、なんとか根抵当を動かし、取引先や役所に頭を下げて交渉をするなど、試行錯誤を続けながらコツコツと返済をしていきました。その結果、今では9億円の借金はなくなり、コロナ禍の時期も売り上げを維持し、ここ2年は過去最高の数字を上げることができました。
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