オワコン化した従来教育、捨てられる教師の末路 平成の価値観が通用しないZ世代が親になる頃に危機

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世の中のニーズが変われば、それに即して学校教育も変化しなくてはいけません。優れたデジタルツールの登場により、学びの形が変化を求められているという第3の事実とは、つまり、知識の詰め込みから脱し、生徒の思考力や想像力、創造性を伸ばす学校教育へと舵を切る必要性につながっているというわけです。

Z世代が親になるとき、昭和の教育は終わる

さて前項でお話しした3つの事実を並べてみると、従来の学校教育は、すでに詰んでいる、オワコン化しているという結論にならざるをえません。授業で知識を授ける。その知識の習熟度を計るためにテストをする。採点する。評価する。

そんな昭和・平成時代にどっぷり浸かったままの学校教育では、これからの時代を生きていく生徒たちの能力を伸ばすことはできないでしょう。

そして、生徒たちの能力を伸ばすことができない教師は、早晩、捨てられる──お役御免となって仕事を失うことになるのは目に見えています。この潮流は、おそらく2030年代から2040年代にひとつのピークを迎え、さらに現在の20代、「Z世代」と呼ばれる人たちが親になるころから、いっそう大きな渦になっていくでしょう。

というのも、現在の30代前半の世代、いわゆる「ゆとり世代」ではまだ見られる昭和・平成の価値観の影響が、1990年代半ば以降に生まれ、今では10〜20代中盤になっている世代、いわゆる「Z世代」にはまったく見られないからです。

つまり昭和・平成の価値観が通用しない世代が親になるとき、長く続いてきた昭和・平成の学校教育は「本当の終わり」を迎えると考えられます。「終わり」と聞いてネガティブな印象を抱かれたかもしれません。

しかし大学全入時代の到来によって受験戦争がなくなり、従来の定型的な教育から思考力や想像力、創造性を育む方向への変容が求められていること自体は、未来ある子どもたちにとって、非常に好ましい変化です。昭和・平成の学校教育の終焉は、長らく叫ばれつつも実現してこなかった「一人ひとりの個性を生かし、伸ばし、輝かせる教育」の始まりとなるチャンスなのです。

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