あなたにも出来る!社労士合格体験記(第31回)--数字と行政官職名を覚えよう!
新幹線の到着に合わせて、義母に東京駅まで、着替えやタオルを持ってきてもらい、洗濯物と交換。わざわざ出向いてもらうのはさすがに悪い気もしましたが、聞けば妻は就職試験で全国の放送局を行脚していた頃、同じように東京駅に何度も来てもらっていたとのこと。義母に見送られ、我々はそのまま高知行きの夜行バスに乗り込みました。
有期事業の一括
ところで東北巡りの話ついでに、都道府県ルールを一つ挙げてみましょう。労働保険徴収法「有期事業の一括」の「隣接する都道府県労働局の管轄区域(厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域を含む)」の例です。この規定では、青森県の事業所と一括できるのは北海道、岩手県、秋田県とされています。北海道は海を隔てているため、厳密には隣接都道府県といえませんが、厚生労働大臣が指定する管轄区域に属します。
有期事業とは、建設の事業や立木の伐採など、一定の予定期間内に終了する事業が該当します。そして、同一の事業主の小規模な有期事業が複数行われるときに、それを法律上当然に一括して、労働保険の納付の事務を簡素化しようというのが「有期事業の一括」です。
本来、有期事業はそれぞれの事業について、原則全期間の労働保険料を、事業開始段階で見込み計算して、保険関係が成立した日から20日以内に納付しなければなりません。ところが一括されると、全部を一の事業と見なして、継続事業のように毎年度に分け、保険料を納付することになります。ポイントは労働保険料の年度更新(概算保険料・確定保険料)の手続きが、継続事業と同様に行われるという点です。
試験対策としては、一括の要件や開始届・報告書に出てくる、数字と行政官職名を覚えましょう。建設事業の要件は、概算保険料の額が160万円未満、かつ、請負金額が1億9千万円未満。立木の伐採の事業の要件は、概算保険料の額が160万円未満、かつ、素材の見込生産量が1000立方メートル未満になります。
また、「一括有期事業開始届」は、翌月10日までに「所轄労働基準監督署長」に提出しなければなりません。そして「一括有期事業報告書」は、事業が続いている期間は、毎年6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)に年度更新とともに、「所轄都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官」に提出しなければなりません。また、一括されるすべての事業が終了した場合は、保険関係が消滅した日から起算して50日以内に、確定保険料申告書とともに提出が必要になります。
消滅した日とは、事業が終了した日の翌日です。7月31日に事業が終了したら、8月1日が消滅日。その消滅日から当日起算して50日以内ですから、9月19日までにとなります。注意が必要なのは、成立の場合は民法の原則どおり翌日起算となることです。もし8月1日が成立日の場合、その翌日の8月2日から起算して50日以内で、9月20日となり1日のズレが生じます。
次回は、高知城で20年ぶりの再会です。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。現在は、職業訓練講師として「人事労務基礎科」「基礎演習科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。
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