500年も行方不明「王の遺骨」主婦が発見した背景 なぜ興味を持ったのか?主婦の勇気と情熱
本作のインスピレーションとなったのは、「2人の子どもを持つ母親が駐車場で行方不明だった国王を発見」という新聞の見出しだった。
脚本を担当したジェフ・ポープは「映画化にあたり、女性たちが軽視され、無視されること。誰かに『ノー』と言われても諦めないこと。そして人から言われたことを絶対的な真実だと信じ込まないことについて描こうと意識した」と明かす。

ポープと共同脚本を務め、主人公の夫役で出演もしているスティーヴ・クーガンも「人々は不正を嫌い、(旧約聖書の)『ダヴィデとゴリアテ』に象徴されるように、小さな者が大きな者を打ち負かす物語を好む。本作でも、素人が権力層に対抗するという点を描いた」と付け加える。
主人公のモデルは、映画化に消極的だった
だが本作のモデルとなったフィリッパ・ラングレーは、最初から手放しで映画化を望んでいたというわけではなかったようだ。
「知らない人がやってきて『あなたの物語を描かせてください』と言われても、そんなことが実現するなんて思わないものよ。自分の人生を誰かに預けるようなもので、軽々しく了承することはできなかった」と正直な思いを吐露するラングレーだが、脚本を担当するポープとクーガンの情熱的かつ真摯な態度に少しずつ信頼を置くようになった。
本作の脚本を執筆するにあたり、ポープとクーガンはできる限り、この件に関することを隅々まで調べ上げた。彼女が出版した書籍を熟読したのはもちろんのこと、彼女が所有していた資料やEメール、関係者へのヒアリングなども入念に行った。
それはリチャード3世の遺骨の行方を“8年にもわたって調べ続けてきた”ラングレーをもってしても、「まるで調査報道の記者のように、あらゆることを深く掘り下げていった」と舌を巻くほどだった。
それゆえラングレーも「彼らがちゃんと調べてくれているんだという安心感を得ることができた。それは本当にありがたかった」と感謝の念を寄せており、「探求の中で、本当にすばらしく記憶に残る瞬間を何度か経験した。でもつらい時期もあった。このような取り組みはすべてバラ色ではないということを、スティーヴとジェフはスクリーンで描こうとしてくれた。大変なことだし、難しいこともあった」と振り返る。
ラングレーが遺骨のありかを探し当てるまでに8年の歳月が過ぎたというが、くしくも2014年に本作の構想が生まれてから映画が完成するまでも、およそ8年という歳月がたっていた。
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