500年も行方不明「王の遺骨」主婦が発見した背景 なぜ興味を持ったのか?主婦の勇気と情熱
本作には、50年前に生き別れた息子を探す母親の旅路を描きだし、アメリカ・アカデミー賞で作品賞を含む主要4部門にノミネートされた、2013年のイギリス映画『あなたを抱きしめる日まで』の製作チームが参加。考えさせられるようなテーマをユーモアを交えて描き出す、優しくも温かなスタイルは本作でも健在だ。
本作の主人公は、2人の息子を持つ主婦のフィリッパ・ラングレー。別居中の夫ジョンとは円満な関係で子育ても分担していたが、会社では持病の筋痛性脳脊髄炎(ME)が理由で昇進できずに落胆していた。
「リチャード三世」を観劇し、人生が一変
だがそんなある日、息子の付き添いでシェイクスピアの「リチャード三世」を観劇したことで彼女の人生は一変する。リチャード3世にシンパシーを感じたラングレーは、夢中になってリチャード3世関連の本を読み続けた。
ヨーク朝最後の王となったリチャード3世は1485年、ヨーク家とランカスター家が王位継承をめぐって争った薔薇戦争におけるボズワースの戦いで戦死。その遺体は河に捨てられたといった風説が流布されていた。
その後、ヨーク朝からテューダー朝へと治世は変わり、1591年にシェイクスピアがテューダー朝にとっての敵であったリチャード3世を、稀代の悪役として描き出すこととなる。
そこで確立された悪名が後の世に尾を引いていたが、一方で、リチャード3世の悪名はテューダー朝の治世の中でつくられたものであるとして、彼の名誉を回復しようとする歴史愛好家もいた。そんな彼らのことは“リカーディアン (Ricardian)”と呼ばれていた。

そうした背景を知ったラングレーは、リチャード3世の汚名をはらすべく、リカーディアンたちが集まる「リチャード3世協会」への入会を決意。やがて職場を無断欠勤するほどに、真相究明にのめり込むようになったが、専門家からは「アマチュア」と鼻で笑われ、傷つくことも。
だがそれでも彼女は鋼の意志で粘り、夢をあきらめなかった。そんなある日、彼女はひょんなことからリチャード3世の遺骨が眠っているかもしれない場所について手がかりを探り当てるが――。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら