省エネ「祇園祭」に協力、節電日本が頼る中国企業 「駒形提灯の灯り」に再生エネが使用された

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活動を続ける中で「サステナブル」「SDGs」という概念が社会に浸透し、政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、カーボンニュートラルを目指すと宣言した。ごみ減量に取り組んできた同団体も脱炭素を推進するため、祇園祭の主役である山鉾の省エネを呼びかけることにした。

「昨年は電気自動車(EV)から鷹山の駒形提灯に100%再エネの電力を給電して点灯したが、34基の山鉾が宵山の3日間点灯を続けることを考えると、持続的な取り組みにするには蓄電システムが必要だと感じた」(井上さん)

そこでキャンプや防災物資として使われているポータブル蓄電池(電源)のことを知り、昨年の青森ねぶた祭で「脱炭素ねぶた」 にソーラーパネルと蓄電池を提供したEcoFlow(エコフロー)の日本法人に協力を依頼した。

再エネへの置き換え、実際は難航

エコフローは中国・深センに本社を置く2017年に創業したポータブル電源メーカー。創業早々に有力VCから資金調達し、2021年に評価額10億ドルを突破したユニコーン企業(設立10年以内で評価額10億ドルの未上場企業)でもある。ポータブル電源の最大の用途はキャンプ・アウトドア活動での電源で、同社はキャンプ市場が成熟しているアメリカから製品展開をスタートし、2019年に日本に進出、現在は100カ国以上で事業展開している。

2022年の売上高は10億ドル近くに達し、前年の4~5倍に伸びた。同社によると日本の2023年1~6月の売上高は電気代高騰による節電意識需要と防災備蓄需要も追い風に、前年同期比75%拡大した。

日本のポータブル電源市場でトップを争うエコフローだが、アウトドア以外での利用シーンを広げたい同社は、日本を代表する伝統行事への協力を快諾した。駒形提灯に電力を送った「DELTA2 Max」は電子レンジ(1000W)を1.6~1.9時間稼働する電力を貯められる。同社によると1度の充電で宵山の3日間分の電力を供給できるという。

再生可能エネルギー
油天神山の提灯に給電したポータブル蓄電池。鳥井さんが設計した分電盤を通じて電気が送られた(写真:筆者撮影)

エコフローの協力を得て、祇園祭ごみゼロ大作戦が事前にアンケートを取ったところ、山鉾34基のうち20基が蓄電池経由の再エネ点灯に前向きだった。しかし協議を進めるうちに、次々と脱落していったという。

「提灯の点灯に統一されたやり方はなく、祭りのたびに電気工事を施して電気を引く分電盤を設置しているところが多かった。そうするとすぐにはポータブル蓄電池に置き換えられない。また、雨が降ったときにポータブル電源を置けるスペースがないとか、操作に慣れていないので電気が途中で消えてしまうかもしれないという心配の声もあった」(井上さん)

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