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ついに「日本が独り勝ちする時代」がやってきた なぜ円安が進んでいるのにそこまで言えるのか

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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これが「膨張しない経済」における営みである。必需品の質が上がっていく。基礎的な消費の質が改善する。これが社会にとってもっとも必要であり、社会を豊かにし、社会を持続的に幸せにすることだ。格差は生まれにくい。質の差はあるが、その差に断絶はない。社会として一体性は維持されやすい。

驚くほどの経済成長、急速な規模的拡大はない。同じものを少しずつ改良しているのだから、ゆっくり持続的に質が上がっていく。この中で、景気が悪くなることもある。農業中心なら、干ばつ、洪水、気候変動であり、農業以外であっても、何らかの好不調はあるだろう。そのときに必要なのは、効率化である。苦しいときには、みんなが困らないように、少ないコストで、少ない労働力で、少ないエネルギーで同じものを作る。これは確実に社会に役に立つ。

日本企業は、こうした点は得意だ。改善と効率化。これが日本企業の真骨頂だ。そして、金にならない社会のためのイノベーションの代表格が、JR東日本が発行しているICカードの「Suica」である。

筆者に言わせれば、遅ればせながら、消費者の情報を「奪い取って」、消費者を利用して儲けることの可能性に気づいた。だが当初の目的は「キセル防止」「改札の混雑防止」などだった。社会に確実に役に立つ。みんながそれを求めていたからだ。儲けることはほとんど考えていなかった。情報を奪うこと、独占することなど思いもよらなかったはずだ。

配達をしてくれる人々、料理を作ってくれる人々、清掃員、介護者。別に高く売れるイチゴではなく、安全で普通においしい米、小麦を作ってくれる人々。今、社会では彼ら彼女らが不足している。

日本が「持続目的経済」で「世界一」に

われわれは、必需品が作れなくなり、いらないぜいたく品が世の中に溢れ、人々は「麻薬」にお金を使っている。だから、新型コロナウイルスや戦争などなんらかの社会的なショックによって供給不足に陥り、必需品が目に見えて高騰してはじめて、ようやく「今まで必需品をつくることに手を抜いてきた社会」になっていたことに気づくのだ。

これからは、必需品を、資源制約、人材制約、環境制約の下で、効率的に作る。地道に質を改善していく。人々の地に足のついたニーズに基づいた改良を加えたものを作るために、改善に勤しむ。そういう、持続性のある、いや持続そのものが目的となる「持続目的経済」"eternal economy"の時代が始まりつつあるのである。その中では日本経済は、どこの経済よりも強みを発揮するだろう。

唯一の懸念は、この日本経済、日本社会の長所に気づかず、短所ばかりをあげつらい、他の国を真似て日本の長所を破壊しつつあることだ。それが、有識者がやっていることであり、エコノミストの政策提言であり、多くのビジネススクールで教えていることなのである。

もう一度、日本経済の長所を捉えなおし、それを活かす社会、経済、社会システムを構築することを目指す必要がある(ここで本編は終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページが続きます:
【さて競馬コーナー。3歳牝馬G2ローズステークスの勝者は?】

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