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『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』 当たり前の不可思議さ、身近なものの奥深さ

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人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか(ビル・ブライソン 著/桐谷知未 訳/新潮社/2970円/512ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile]Bill Bryson 1951年米アイオワ州デモイン生まれ。英国在住。幅広いテーマでベストセラーのあるノンフィクションライター。著書に『英語のすべて』『究極のアウトドア体験』『アメリカを変えた夏 1927年』などがある。王立協会名誉会員。受賞歴多数。

本は速く読めるにこしたことはないと思っている。だが久しぶりに、1日1章のペースでじっくりと味わいたい1冊が現れた。人体のあらゆるパーツをさまざまな角度から語り尽くし、徹底的に不思議を思議する。一見、当たり前のことほど驚きは深く、身近なものほど奥が深い。こういう感覚を何日にもわたって感じることができるのは、まさに至福だ。

著者はビル・ブライソン。これまで数々の秀作を手掛けたノンフィクションの名手が今回挑んだテーマは人体。本書は、「なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか」という疑問にとことん迫る1冊だ。

皮膚から脳、心臓、そして下半身まで全23章におよぶ本書の視点は、多様にして縦横無尽だ。話題への切り込み方からしてひと味違う。例えば微生物について書かれた第3章。「深く息を吸ってみてほしい。生命の源である豊かな酸素で肺が満たされているような気がするだろう。実を言うと、そうでもない。あなたが吸っている空気の八十パーセントは、窒素だ」という書き出しに一気に引き込まれる。

ここから、窒素を役立てるには、まずアンモニアに変換する必要があることに言及し、その仕事の主人公として細菌が登場する。そして視点はヒトから微生物へとダイナミックに移り、微生物の目線で地球が語られていく。

数量的な感覚を刺激する描写が多用されているのも本書の特徴だ。例えば、脳の重さは体重の2%にすぎないのに、エネルギーの20%を使う。これだけだと脳が膨大なエネルギーを消費するように思えるが、1日当たりでは約400キロカロリーと、ブルーベリーマフィン1個分程度であることも書かれているのだ。

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