起業家にとってベンチャーキャピタル(VC)から行う最初の資金調達は、事業の成否を左右する大きな決断だ。しかし、最近は十分な知識がないままスタートアップが資金調達を行っているケースが増えている。
メルカリの山田進太郎CEOやグノシーを立ち上げた現・LayerXの福島良典CEOのように、起業を複数回経験する経営者は増えているが、まだ日本では少ない。大半の人にとって生涯に立てる起業という「打席」は1回だ。
一方でVCは資金供給のプロとして、多くの経験を積んでいる。両者における情報の非対称性があることで、起業家が知らないまま不利益を余儀なくされているケースについて解説したい。
持ち分の希薄化に注意
立ち上げ当初のシード期と呼ばれるスタートアップの場合、事業成長に向けた迅速な資金調達が欠かせない。ただVCとの契約交渉や厳格な企業価値の評価を行っていると、いたずらに時間が過ぎてしまう。そうした中で、2010年代半ばごろから注目を集めているのが、「コンバーティブル投資手段」という有償新株予約権型の資金調達だ。この手法を使うと、スタートアップにとっては次の調達ラウンドまで企業価値の評価を先延ばしして、機動的にVCからの資金調達を行うことができる。
また株式転換の条件を自由に定めることができるため、スタートアップと投資家双方が事業成長へのコミットメントを高める効果などが期待できるといわれている。
契約の雛型が無償公開されているので、スタートアップにとっては時間や金銭面の負担を抑えられることも大きい。米国では「SAFE」と「KISS」という雛型が主流で、日本では日本版KISSといわれる「J-KISS」が普及しつつある。
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